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丸井グループのサステナビリティ

丸井グループのサステナビリティ

丸井グループビジョン2050

丸井グループは2019年2月、すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブな社会を共に創るための道筋として、「ビジョン2050」を宣言しました。

VISION 2050

インパクトと利益の二項対立を乗り越える

「インクルージョン」の考え方

丸井グループがめざすのは、世界に存在するあらゆる二項対立を乗り越え、すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブな社会の実現です。一部の人だけが「しあわせ」になっても、それは社会全体の「しあわせ」ではありません。すべての人が「しあわせ」を感じて初めて、本当の意味で豊かな社会になったといえるのではないでしょうか。私たちは1931年の創業以来、「信用はお客さまと共につくるもの」という共創精神のもと、時代やお客さまの変化にあわせて、小売と金融が一体となった独自のビジネスモデルを進化させ続けてきました。そして現在、未来を切り開くために私たちが注目しているのが、「インクルージョン(包摂)」という考え方です。インクルージョンには、これまで見過ごされてきたものを包含する・取り込むという意味があります。丸井グループは、このインクルージョンを通じ、すべての人の利益の重なり合う部分を広げていくことが、すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブな社会の実現につながると考えています。インクルージョンは理念であると同時に経営戦略そのものであり、二項対立を乗り越え、社会課題の解決と企業価値の向上を同時に実現するためのキーワードであると考えています。

「インクルージョン」の考え方
図は、正規分布を表しています。 一般的な企業は、正規分布のボリュームが多い部分のみに対してビジネスを行いがちです。 そしてそれ以外の部分は、 母数が少ないと思われ見過ごされてきました。しかし丸井グループは、これまで見過ごされてきた部分を包含する・取り込むことで、「すべての人」の「しあわせ」の実現をめざします。

あらゆる二項対立が存在し、課題を抱える世界

「二項対立」とは、一つの概念を2つに分けることで、それらが矛盾や対立の関係にあることをいいます。例えば私たちは、男性と女性、大人と子どもなど、当たり前のようにものごとを2つに切り分け、異なるものとして考えてしまいがちです。そればかりか、健常者と障がい者、富裕層と低所得者層など、互いを対立・分断させることで、差別や格差を引き起こしています。このように私たちが暮らす世界には、あらゆるところに「二項対立」が生じ、もはや無視することができない状況となっています。こうした地球レベルの課題を見過ごし、目先のしあわせや利益のために生活を続けていくことこそが、現世代と将来世代との「二項対立」であり、放置すると避けることのできない深刻な未来がやってくると考えます。

インクルージョン」の考え方
図は、正規分布を表しています。 一般的な企業は、正規分布のボリュームが多い部分のみに対してビジネスを行いがちです。 そしてそれ以外の部分は、 母数が少ないと思われ見過ごされてきました。しかし丸井グループは、これまで見過ごされてきた部分を包含する・取り込むことで、「すべての人」の「しあわせ」の実現をめざします。

丸井グループが考える2050年の世界

私たちが生きる世界の現状を理解した上で、今後訪れる確定的な未来、不確実な未来、そして不確実から確定的にしたい未来は何か、丸井グループは1年かけて本気で考えました。その結果、「私らしさを求めながらもつながりを重視する」「世界中の中間・低所得層に応えるグローバルな巨大新市場が出現する」「地球環境と共存するビジネスが主流になる」という3つの視点から未来の世界を整理することができました。そして、その3つの視点から導き出した2050年の世界には、「国・人種・自然すべてがつながり合う世界」が訪れているのではないかと考えました。

  • 01

    「私らしさ」を求めながらも、「つながり」を重視する世界

    ダイバーシティの推進により、高齢者、LGBTQ、外国人や障がいのある方など、すべての人が当たり前のように「私らしさ」を追求でき、「マイノリティ」という概念がなくなる世界になるでしょう。一方で、テクノロジー化によるバーチャル世界が今後も拡大していくことから、人々が個を保ち自分らしく生きながらも、国や人種による対立を超越した「つながり」を楽しむことに価値を見出す世界が訪れると考えます。

  • 02

    世界中の中間・低所得層に応えるグローバルな巨大新市場が出現する世界

    発展途上国の所得が上がる一方で、先進国での経済格差が拡大し、これまでの「発展途上国 対 先進国」という構図ではなく、「世界の超富裕層 対 中間・低所得層」という構図の社会が訪れるでしょう。このような対立が起こる中で、世界中の中間・低所得層に共通した社会的ニーズや課題、教育・医療・金融・消費サービスなどのさまざまな事業機会が生まれ、グローバルな巨大新市場が出現する世界になると考えます。

  • 03

    地球環境と共存するビジネスが主流になる世界

    自然環境は、これまでの大量生産と消費を支えきれなくなり、地球環境と共存するビジネスだけが生き残れる世界が訪れるでしょう。自然の力を活かす再生可能エネルギーの利用や、資源の無駄を利益に変える「サーキュラーエコノミー」が当たり前になっていきます。そして世界中の将来世代の人々は、購買行動や消費活動を通じて、地球環境と共存することを重視するようになり、「レスポンシブル・コンシューマー」が主流となる世界が訪れると考えます。

ビジョン策定プロセス

今回宣言した「ビジョン2050」は、約1年間かけて、グループ社員、執行役員、有識者との対話を重ねながら策定しました。ビジョンの策定に自ら手を挙げて集まった社員たちを起点に、2050年の未来をゴールとしたバックキャスト手法を通じて、丸井グループのめざす未来を一緒に考えました。

ビジョン策定の背景とプロセス

始まりは、投資家の皆さまからのご意見でした。「インクルージョン」という共創理念の浸透と事業戦略の実施により、市場からも企業価値の向上を評価していただいた一方で、「長期ビジョンとその実現に向けた長期目標を示してほしい」「長期目標に向けた進捗状況を定量的に示してほしい」という課題を提示していただき、今回のビジョン策定がスタートしました。2050年という超長期のビジョンを策定するためには、実際にその時代を生きる世代の社員たちの声が最も重要です。そこで、ビジョン策定に参画する若手グループ社員を募り、社員一丸となって動き出しました。

ビジョン策定の背景とプロセス
図は、正規分布を表しています。 一般的な企業は、正規分布のボリュームが多い部分のみに対してビジネスを行いがちです。 そしてそれ以外の部分は、 母数が少ないと思われ見過ごされてきました。しかし丸井グループは、これまで見過ごされてきた部分を包含する・取り込むことで、「すべての人」の「しあわせ」の実現をめざします。

グループ横断の「サステナビリティプロジェクト」発足

丸井グループには、中長期視点で会社や社会全体に関わるテーマについて、未来志向で深く議論する4つの公認プロジェクトがあります。そのうちの一つである「サステナビリティプロジェクト」は、2018年に発足しました。自ら手を挙げる公募制のプロジェクトの中で、約7倍という過去最高の応募倍率となり、その中から選抜された約50名のグループ社員が参加。外部有識者とのワークショップを行いながら、「ビジョン2050」について議論を重ねました。

1年間の主な動き

  • 2017年 12月

    IR DAYにて、投資家の皆さまからご意見をいただき、ビジョン策定に向け新プロジェクトを発足。社員へのヒアリングや外部有識者との対話を進める。

  • 2018年 1~2月

    役員・若手社員・外部有識者を交えて「第1回未来創造ワークショップ」を全4回実施。主に「丸井グループの2050年にありたい姿」について議論。

  • 2018年 5~9月

    公募制で集まったプロジェクトメンバー・外部有識者を交えて「第2回未来創造ワークショップ」を全7回実施。主に「丸井グループの2050年にありたい姿」について議論。

  • 2018年 9月

    第2回ワークショップで6つのグループに分かれた社員たちがまとめた「丸井グループの2050年にありたい姿」を、執行役員に直接提案後、事務局で素案を作成。

  • 2018年 10月

    執行役員のみで「第3回未来創造ワークショップ」を実施。主に社員が作成した「ビジョン2050」の素案について、執行役員の意見や見解を共有しながら議論。

  • 2018年 12月

    執行役員のみで「執行役員ビジョン合宿」を実施。12月10日の共創サステナビリティ説明会での発表に向けて、「ビジョン2050」の最終検討を行った。

社員が起点となった未来創造ワークショップ

「サステナビリティプロジェクト」に参加した社員は、まず30年後の外部環境分析を行い、確実に訪れる未来トレンドと、それに対して自分たちがめざしたい世界は何なのかを議論しました。その後メンバーを6つのグループに分け、それぞれ「丸井グループの2050年にありたい姿」を検討し、執行役員への直接提案を行いました。各グループの代表者とメンバーの声をご紹介します。

30年後の主役である子どもたちの声

長期ビジョンを検討するにあたり、30年後の未来を担っていく主役の子どもたちの考え方や意見を参考にするべく、東京都・品川区立荏原第五中学校さまに協力していただき、合計130名の子どもたちと議論を行いました。まずは30年後の未来がどうなっているのかを想像し、それを踏まえて、「こうなっていると良いと思う30年後の世界」を考えてもらいました。子どもたちからは、「人との関わり合いを重視したい」「エコな生活が日常的になるといい」「テクノロジーによる支配が怖い」など、未来に対する期待や不安の声が上がりました。こうした子どもたちからの意見を丸井グループの長期ビジョン策定に反映し、将来世代のステークホルダーとの共創の第一歩を踏み出しました。

教室で授業を受ける生徒たちの写真

こどもの意見

  • 30年後も人との関わり合いや人のあたたかみを大切にしていたい。
  • テクノロジーの進化を楽しみつつも、気候や環境の問題を解決したい。
  • ロボットと人間の仕事は分けたい。便利になりすぎず、人間生活を充実させたい。

ご協力者さまのコメント

「みんなの発言が、丸井さんの新しい経営方針を考える上での参考になるんだよ」と伝えたところ、やる気を出して楽しそうに参加していた姿が印象的でした。また、「便利になりすぎる世の中は嫌だ」「食事は家族と共に食べたい」などの生徒の発言は予想外で、人と関わるあたたかさや、人間としての営みの本質的なものは失ってはならないのだと、今回の授業のおかげで実感しました。

諸戸 彩乃氏の画像

諸戸 彩乃氏

(東京都・品川区立荏原第五中学校 教諭)

執行役員ワークショップ「執行役員ビジョン合宿」

サステナビリティプロジェクトメンバーによるビジョン提案、子どもたちとの意見交換などを経て、最後は執行役員全員による一泊二日の集中合宿を実施し、長期ビジョンの最終段階を詰めていきました。合宿では、社員や子どもたち、有識者からの意見を整理して理解した上で、グループごとに分かれて長期ビジョンの再検討・発表・共有を行いました。「二項対立を乗り越えるという言葉に、困難に立ち向かう革新的な意志を感じる」や「グリーン・ビジネスのKPIは具体的で良いが、他のビジネスのKPIは今後さらに精査が必 要」など、さまざまな意見が飛び交う自由闊達な議論が行われました。合宿での最終検討を経て、2018年12月10日、共創サステナビリティ説明会での長期ビジョン発表に至りました。