在留外国人が日本人と同様に金融サービスを受けられる世界をめざして Partner's Interview#11 グローバルトラストネットワークス
丸井グループでは、さまざまな企業・人と力を合わせてインパクトを生み出す「共創」の取り組みを進めています。共創を加速させるために多様な部署から集まった社員で構成される「共創チーム」を組成し、現在は17チームが活動中。店舗でのイベント開催やエポスカードとのコラボ、物流での協業など、常にさまざまな取り組みが行われています。
「Partner's interview」では、そんな丸井グループの共創の最新事例や、担当者による想いをご紹介!第11回は、多文化共生社会の実現に向けて、日本で暮らす外国人の方々にさまざまなソリューションを提供している株式会社グローバルトラストネットワークスさまとの共創についてお届けします。
共に取り組みを進める2社の担当、3名にお話をうかがいました。
〈今回の鼎談パートナー〉
片平 潤さん(中)
株式会社グローバルトラストネットワークス 取締役
三浦 桂孝さん(左)
株式会社グローバルトラストネットワークス(丸井グループから出向中)
木村 真帆(右)
株式会社エポスカード 「好き」を応援するカード事業部 共創推進課
―グローバルトラストネットワークス(以下、GTN)のミッション、事業内容を教えてください
片平さん:GTNは、在留外国人の方々が日本で活躍していただくために、さまざまなソリューションサービスを提供している外国人専門の生活総合サービス支援企業で、今年、創業20周年を迎えています。
「日本の力になる人の、力になりたい。」というスローガンのもと、日本でお住まいを借りる時に必要な「家賃保証事業」、外国人目線でモバイル/インターネットなどのサービスを提供する「通信事業」、外国人専門の賃貸物件探しをお手伝いする「不動産事業」、就職など活躍する場を提供する「人材事業」、そして、丸井グループと取り組みを進めている外国人の金融にまつわる課題を支援する「金融事業」がおもな事業です。
―丸井グループとGTNの共創のきっかけを教えてください
片平さん:GTNが、外国人が日本で暮らすために必要な金融サービスをどうやって提供していくべきかを考えている中、「ファイナンシャル・インクルージョン=すべての人に金融サービスを提供する」を経営のテーマの一つに掲げている丸井グループさまから、お声がけをいただいたのがきっかけと聞いています。丸井グループさまとGTNとの共創がスタートし、2017年に誕生したのが、国内初の外国人専用カード「GTNエポスカード」です。
実はその当時、私はエポスカードの社員でした。2018年4月にGTNに出向し、その後、移籍して現在にいたります。当時のGTNは創業10年を少し超えたぐらいで、一生懸命いろんなことにチャレンジしていこう!という風土を肌で感じていました。
木村:GTNさまの後藤社長はかねてより、「チャレンジなくして成長なし」とおっしゃっていましたね。双方が刺激し合いながら、「外国人が日本でもっと快適に暮らせるようにしたい」といった同じ目標に向かって進んでいる。ものすごく良いカタチの共創だと思っています。
―2社による共創の強みは何だと思いますか
片平さん:「GTNエポスカード」について、他社からも「何でこんなことができるんですか?」とよく聞かれます。その際、私は「いかに本気で外国人に取り組むかという気持ちだと思っています」と答えています。
一般的に金融業界が外国人へのカード発行に消極的なのは、貸し倒れなどのリスクが日本人と比べて高いからなんですよね。丸井グループさまはそのリスクを包括してでも、社会課題の解決を実現するという強い気持ちで、一緒にやろうとGTNに声をかけてくださった。この協業がうまくいっているのはそこだと個人的に思っています。
木村:ひと言でいうなら「信用の共創」、それに尽きますね。エポスカードは、ファイナンシャル・インクルージョンの考えのもと、お客さまの年齢や職業、年収だけで判断せずに金融サービスを必要としているお客さまに適切な限度額を設定し、信用を供与します。その後はお客さまのご利用やご返済をもとに、お客さまと信用を積み重ね限度額を引き上げていく。それが創業から続く与信哲学です。それは外国人のお客さまにおいても同じです。
とはいえ、リスクが高いのは事実。そこでGTNさまの強みである外国人に対するサービスのノウハウや知見をいただき、丸井グループの「信用の共創」とかけ合わせることでGTNエポスカードの発行に至りました。それから8年間、共創を継続してきたことによる蓄積が強みになっていると思います。
片平さん:経営陣も含めた双方の会社の決意と信頼感。共創の神髄って、そこだと感じています。
―2017年の共創のスタートから今年で8年目ですが、最近の両社での取り組みを聞かせてください。
三浦さん:私がエポスカードのホーム事業部から、家賃保証の営業先の1つだったGTNに出向した2021年当時は、家賃保証とクレジットカード、免許ローンはすでに開始していて、数値をどう伸ばすかという時でした。
それから4年を経た現在の課題は、サービスの質をどう高めていくかだと考えています。日本人だと当たり前なのに、外国人だと受けられないサービスがまだまだあります。その1つが、ゴールドカードでしたが、2025年10月に国内初の外国人専用ゴールドカード「GTNエポスゴールドカード」を発行することができました。単に取扱高の拡大に留まらず、ブランド力や話題性など、より広範な領域における存在価値を示すことができたと感じています。
木村:GTN社内での反応もすごかったと聞いています。
三浦さん:社員の7割が外国籍なので、「ついにゴールドカードを持てるぞ!」と盛り上がりました。社員でありながら、GTNエポスカードのユーザーでもあるわけですから。お客さまの姿が、自分たちが日本に来たばかりの状況と重なるのでしょうね。「在日外国人の助けになりたい」という共感と強い使命感が、各スタッフの原動力となっていると感じます。また、カードの延滞がお客さまの日本での未来に影響することを理解しているため、発行だけでなく、返済サポートにも力を入れ、「お客さまの日本での活躍」を支えるという想いで、日々懸命に取り組んでいます。
―「GTNエポスカード」「GTNゴールドエポスカード」以外での協業についても教えてください
木村:1つはGTNさまの主力事業である家賃保証です。家賃保証サービスはエポスカードものびしろがある領域と考えているので、継続的に力を入れていきましょうと話しています。
三浦さん:日本で事業を立ち上げたい外国籍の方が増えていることを受け、現在、事業用の家賃保証サービスを協業で検討しています。これにより、起業家の方々の事業開始を強力にサポートできる見込みです。
木村:ほかの事例ですと、運転免許ローン保証の需要も高まっていますね。GTNさまと協業し、今では前年比で2~3倍の外国人の方にご利用いただくまでに成長しています。
三浦さん:現在、さまざまな要因でドライバー不足が深刻化していますので、日本で運転免許を取得すると就職の幅が広がります。しかし、免許ローンが通らなくて教習所に通えないという人も少なくありませんでした。そんな方々に外国人専用の運転免許ローン保証がとても好評です。
片平さん:在留外国人のお客さまは、ローンが組めて、教習所に通って免許が取れると喜ぶ。人口減少や若者の車離れなどで免許を取る人が減っている教習所さまは、お客さまが増えて喜ぶ。エポスカードさまは免許ローンが増えて喜ぶ、GTNは保証料をいただけるという四方良しの取り組みだと思います。
―これからの目標や取り組みたいことを聞かせてください
片平さん:世の中には保険や投資の分野など、カード以外にもまだまだたくさんの金融サービスがあります。GTNがめざしているのは、ファイナンシャル・インクルージョンの世界。在留外国人が日本人と同様に金融サービスを受けられる世界をめざして、丸井グループさまの力もお借りしながら一つひとつ迅速に対応していきたいと考えています。
さらに先を言うと、日本で積み上げた信用を持って海外でもサービスを受けられる、そんな世界をめざしています。そのポイントは、いかにお客さまの信用度を見極めてサービスを提供することだと思います。
木村:現在、エポスカードでは「GTNエポスカード」を含め13万人以上の外国人にサービスを提供していますが、在留外国人は今後も増えていきますので、日本での暮らしを快適にするサービスの一つとして、「GTNエポスカード」をもっと広めていきたいですね。
当社のIR資料にも「多様な働き方を支援するクレジットカード」として記載していますので、より取り組みを加速させていきたいと思っています。それが、GTNさまが掲げている「外国人が日本に来てよかったをカタチに」というミッションの実現にも貢献できると思います。
三浦さん:在留外国人が年間約400万人と増加している中で、GTNとエポスカードのサービス提供が追いついてないと個人的に思っています。なので、2社間だけでなく、さまざまなステークホルダーとのつながりや各種ツールを活用して、共創の企業の輪をもっと広げていけたらと考えています。
片平さん:日本で外国人が生活し、活躍するためには、金融サービスは切っても切り離せません。丸井グループさまとGTNの両社がwin-winになれる共創を一層推進しましょう。
木村:よろしくお願いします。