
デジタルだからこそリアルな出会いが特別な体験になる Partner's Interview#8 ミラティブ
丸井グループでは、さまざまな企業・人と力を合わせてインパクトを生み出す「共創」の取り組みを進めています。共創を加速させるために多様な部署から集まった社員で構成される「共創チーム」を組成し、現在は17チームが活動中。店舗でのイベント開催やエポスカードとのコラボ、物流での協業など、常にさまざまな取り組みが行われています。
「Partner's interview」では、そんな丸井グループの共創の最新事例や、担当者による想いをご紹介! 第8回は、スマホゲーム配信プラットフォーム「Mirrativ」の開発・運営を行っている株式会社ミラティブさまとの共創についてお届けします。
ミラティブ共創チームとして共に取り組みを進める二社の担当お二人にお話をうかがいました。

<今回の対談パートナー>
中村 晃之さん(左)
株式会社ミラティブ プロダクトマネージャー
石井 椋平(右)
株式会社エポスカード 事業企画部 ミラティブ共創チーム
―まず、ミラティブの事業内容と、めざしているビジョンを教えてください。
中村さん:スマホゲーム配信プラットフォーム「Mirrativ」の開発・運営に加え、現在は配信者の活動支援・収益化支援・成長支援なども行っています。
「好きでつながり、自分の物語が生まれる居場所」をビジョンに掲げ、インターネットやゲームなど自分が好きなことを通じて、リアルではない場所で出会いが生まれ、自分らしくイキイキといられる居場所をたくさんつくるということをめざしています。

石井:ミラティブとの出会いは、ビジネスカンファレンスで当社社長の青井とミラティブのCEO赤川さんがお会いしたのが始まりと聞いています。赤川さんからミラティブがめざすビジョンをうかがう中で丸井グループと共創の可能性を感じ、早々に双方の経営層を集めてミーティングを行いました。
ミラティブさまの提案資料の中に、「『Mirrativ』 によって人生が変わった」とイベントでお話されているユーザーさまの動画があったのですが、あのエピソードが大好きなんです!社会に対して不安などを抱えていた方が、「Mirrativ」を通して気持ちが変わったり、社会に対する考え方が変わったりして、自分から一歩前に進めるようになったという話は、まさに「一人ひとりの『好き』を応援する」という私たちがめざしているインパクトの考え方と同じだと感じましたし、あれが共創スタートの決め手になったといっても過言ではないくらいです。
―共創が始まった当初、丸井グループにはどんなイメージを持っていましたか?
中村さん:エポスカードやフィンテック事業というより、マルイ店舗のイメージが強かったので「共創って何をするんだろう」と思いました。店舗といっても、当時はコロナ禍ということもあって世の中の誰とも会えない状況。配信者さんにリアルに会えるイベントを店舗でやったとしても、そもそも「Mirrativ」は顔を出さない動画配信が中心なので、コロナ明けに本当にそれが実現可能なのかという不安はありました。一方で、コロナ前に行ったオフラインイベントで感じたリアルの良さもわかってはいたので、丸井さんとの共創によって機会をいただけたことで、じゃあもう一度やってみようとなりました。
ーエポスカードから発行している「ミラティブ推し活カード」について、どのような想いから誕生したか教えてください。
中村さん:配信者というものが仕事としても社会的に認められてほしいという想いがありました。今はまだ仕事しながら配信をしているけれど、そのうち配信で得た収入だけで生活していきたいと考えている方もいます。そうした中で僕らが配信活動を支援できることってなんなんだろうと考えた時に、フィンテックとの共創として生まれたのが「ミラティブ推し活カード」です。
「ミラティブ推し活カード」で実現できることは、大きく二つあります。
まず一つ目は、配信者さんの活動をより多くの方に知っていただく後押しができる点です。実際にある配信者さんからは「自分の分身であるエモモ(アバター)がクレジットカードのデザインになるなんて、本当にうれしい」との声をいただきました。クレジットカードは日常生活で広く利用される決済手段の一つです。そこに推しのエモモ(アバター)がデザインされることで、視聴者さんが日々の買い物の中でも推しを身近に感じられるきっかけになると考えています。もう一つは、クレジットカードをご利用いただくことで、普段のお買い物に伴って還元されるポイントがMirrativのコインへと変わり、無理のない範囲で推しである配信者さんをさりげなく応援できます。

石井:先行していた「Mirrativエポスカード」との大きな違いでいうと、「Mirrativエポスカード」は「Mirrativ」というプラットフォームのユーザーさま向けカードなのに対し、「ミラティブ推し活カード」はMirrativで活躍する配信者さんを推しているユーザーさま向けのカードです。一見同じように聞こえますが、「ミラティブ推し活カード」ではカード会員さまは推しの配信者さんのクレジットカードを持つことで生活の中でも常に推しを感じることができ、Mirrativ上でのつながりをより太くしていくことになりなります。
丸井グループからの目線で言うと、他社のクレジットカードって還元競争なんです。ポイントをいかにユーザーに還元するかっていうことに、各社しのぎを削っている状況下で、同じ土俵で戦うとやっぱり疲弊していくだけなんですよね。そういった中で我々が見出した一つの答えが、「好き」が駆動する経済という新たな経済のあり方です。支援や寄付のように、自分ではない「誰かのため」にという利他的な行動は、還元競争とまったく異なる価値観です。そこに独自性、競合優位性があると思っていますし、このような価値観は今後ももっと広がっていくんと考えています。ミラティブさまと丸井グループの考えが重なる部分が多いのが、「ミラティブ推し活カード」かなと思います。
ー丸井グループとの取り組みを進めていく中で正直難しいと感じたことや課題があれば教えてください。
中村さん:フィンテックに関していうと、さまざまな理由でクレジットカードをお持ちでない方や、「クレジットカード=怖い」という考えをお持ちの方が想像していたより多かったことです。一方でキャッシュレス決済との競合などの課題も含め、伸びしろであるとも考えています。
加えて、企業文化の面でも丸井グループとミラティブではそれぞれに特色があります。ミラティブはスピード感と法令遵守の両立を軸に事業を推進していますが、クレジットカード事業を担う丸井グループは、法令はもちろん、高度な倫理観や社内ガイドラインも含めた厳格なコンプライアンスを徹底されています。こうした価値観の違いはありますが、互いの強みを尊重し学び合うことで、より大きなシナジーを生み出せると感じています。
石井:丸井グループの場合、法令遵守の考えと同時に大切にしている価値観や倫理規範がありますので、固い守りの部分はあるかもしれないですね。どんどん変えていかなければいけない部分と、変えてはいけないところを棚卸しながら共創させていただいています。
ミラティブは物事を進めく中で、ユーザーさんの声を聞いてスピード感をもってアジャイルに変えていくということが得意だと思うので、我々もそれを見習って今後も「ミラティブ推し活カード」を中心に共創を推進して行きたいなと思って思います。
ー丸井グループとの取り組みを進めていく上で良かったことはありますか?
中村さん:先ほども少し触れましたが、ユーザー視点では「自分の活動がより多くの人に届いた」と感じていただけた点が印象的でした。私自身、マルイは大学生や新社会人のころに“少し特別な買い物”をする憧れの場所でしたので、そこでイベントを開催できることはユーザーさんにとっても私にとっても大きな喜びです。さらに、エポスカードの発行を通じて配信者さんの魅力を広く知ってもらえる機会が増えたことも、共創の大きな成果だと考えています。
また、僕自身フィンテックというものの解像度が高くない中で、そもそも決済事業者がどういうことを考えているか、事業をどのように進めているか、そういったことが協業していく中でわかることで我々としても事業の伸びしろが見えてきますね。僕たちは日頃から、デジタルを扱うことが多いので、見たものがそのままアプリの中でリリースされるということが普通なんです。その反面、リアル店舗や実物のクレジットカードのような物理的に「モノ」を扱うっていうことには慣れてないので、そのあたりはすごく難しいなと感じましたね。実際に印刷してみたら、イメージしていた色と全然違うとか、物流が難しいなど、いろいろと学びがありました。
石井:だからこそ、そのようなリアルな体験がユーザーさんにとってはすごく貴重だし、インパクトのあることなんだなって感じました。ビジネス的に考えれば、リアルなものというよりデジタルにシフトした方が効率的ですけど、逆に言うとデジタルの世界にいた人たちだからこそ、アナログが良さやリアルの「モノ」の良さを感じられると思うんです。
中村さん:福岡のイベントに登壇してくれた配信者さんは、等身大の自分のパネルを店舗に設置したら、もう速攻で僕に会った瞬間に、「あのパネルってもらえるんですか?絶対送ってください!」ってとっても喜んでいました。配信の中でも映してくれていたらうれしいですね。
石井:投票イベントの時にも、ユーザーが書いた投票用紙をユーザーさんに渡したらとても喜んでくれて。配信の中で送るギフトは、体験としては残るけど体感できない中で、リアルなイベントや声というのは、すごく価値があるんだなって思いましたね。
―常にデジタルの中で行われていることだからこそ、リアルな体験により特別感があるということなんですね。
中村さん:めちゃくちゃあると思います。
石井:リアルな接点によってデジタル上のつながりのエンゲージが高まるということなんだと思います。

―今後、両社でやっていきたいことはありますか?
中村さん:直近の話でいうと、もっと「ミラティブ推し活カード」をもっと拡大させていきたいです。そして、すべての配信者さんがそれぞれのカード券面を出して、視聴者さんは誰かしらの「推し活カード」を使っているような世界をつくりたいです。
もう 一つ、先日我々が打ち出した新しい戦略の中で、今後は「Mirrativ」というプラットフォームの枠を超えて、V Tuberなどのいわゆる配信者として活躍されている方々を支援することができるプラットフォームにしていくというビジョンを発表しました。その取り組みを進めて行くうえでも、丸井グループとは共創をしたいですね。
石井:ミラティブのカードは、一人当たりのご利用額も高いんですね。なぜかというと、普段のお買い物というのは通常の会員さま並みにあって、さらに利他的消費が加わることでさらに利用額が上乗せされて2階建てになる。 我々サイドからいうと、やはりミラティブ推し活カードをスケールしてくというのは事業的にもメリットもあると考えています。だからこそ、ミラティブが発表した戦略をサポートできれば、両者にとってメリットが大きいと思います。
加えて、配信者さんがそれを職業にし始めているという中で、クレジットカードだけじゃなく、フィンテックとしての何に共創できることはないかなと、個人的に長期的には思っています。例えば保険など、丸井グループが扱っている中で、配信を職業にすることでの起こりえる経済的な課題の解決をご一緒できないかなとか。
私たちは独自の与信ノウハウをもとに家賃保証ビジネスを行っていますが、例えば配信者さんの報酬や配信実績からある程度こう信用を組むなど、配信の活動や生活が、プロフェッショナル化してくるっていうところの支援が、何かカードだけでなくできることがあるんじゃないかなぁと朧気に思っています。
中村さん:そうですね。配信者さんの中には収入はあるけど与信がないために「家を借りられない」なんて話も聞いたことがあります。そのため、一人では生活ができないみたいな。そういった課題の解決につながることを一緒にできたらいいですね。
石井:我々はもともと「信用の共創」として、お客さまと信用を一緒に積み上げるという形で、ファイナンシャルインクルージョンを進めてきたんですけど、今後は外国人や個人事業主の支援などを通して、ファイナンシャル・エンパワーメントしていくと発表しました。このような大きな戦略に、何か一緒に取り組めてらうれしいなと思っています。
