「好き」から、意思あるキャリア選択ができる社会をつくるために Partner's Interview♯12 ベースミー
丸井グループでは、さまざまな企業・人と力を合わせてインパクトを生み出す「共創」の取り組みを進めています。共創を加速させるために多様な部署から集まった社員で構成される「共創チーム」を組成し、現在は17チームが活動中。店舗でのイベント開催やエポスカードとのコラボ、物流での協業など、常にさまざまな取り組みが行われています。
「Partner's interview」では、丸井グループの共創の最新事例や、担当者による想いをご紹介!
第12回は、就活特化AI Agent 「BaseMe」の開発・運営により、急成長フェーズにある株式会社ベースミーさまとの共創についてお届けします。
共に取り組みを進める2社のお二人にお話をうかがいました。

〈今回の対談パートナー〉
勝見 仁泰さん(左)
株式会社ベースミー 創業者/代表取締役CEO
大沢 翔(右)
株式会社丸井グループ 人事部 採用1課長
― ベースミーの事業や理念を教えてくだい
勝見さん:ベースミーは「人類の価値観を解放し、つなげる」をミッションに掲げ、就活特化AI Agent「BaseMe」の開発・運営を行っています。「BaseMe」は5万人以上の学生に利用されています。AI キャリアエージェント「Ken」が学生との対話を通じて、"自分でも気づいていなかった強みや志向"の言語化をし、自己理解から企業選び、意思決定まで学生に寄り添い、「納得感ある就活」に伴走します。
この学生に対するユニークな価値提供に共感いただき、おかげさまで導入企業は200社を超えました。

― 勝見さんが学生起業された背景を聞かせてください。
勝見さん:私は、実家の八百屋の手伝いを通して、「商売」がコミュニティに対して商品やお金だけではない価値を提供できていることを実感しながら育ったんですね。そこで、自分自身も将来、ビジネスを通じて世の中に良いことをしたいと考えていて、海外体験などを通して社会問題への関心を高めていました。
ところが、いざ就職活動を始めると、自分がやりたいことを見つけたり、自身の興味と仕事、企業を結びつけることがすごく難しかったんですよね。その原体験から「就活の構造」に課題を感じました。毎年約50万人近くの学生が、限られた情報の中で人生を左右する意思決定を迫られる。これは「情報の非対称性」の問題であって、テクノロジーで解けるはずだと確信しました。 一人ひとりにAIのキャリアアドバイザーがつけば、自分の価値観を解像度高く理解して、納得感を持って企業を選べる。実家の八百屋が一人ひとりのお客さんの好みを覚えて最適な野菜を勧めていたように、AIならそれを何万人規模でできる。それが起業の原点です。
しかし、当時は行動が起こしにくいコロナ禍。そんな時、知人から勧められたのが、丸井グループ主催のアクセラレータープログラム「Future Accelerator Gateway」でした。大沢さんに初めてお目にかかったのもその時で、以来、親戚のお兄ちゃんのように感じています。
大沢:うれしいですね。では、私もいつものように、「キミー」と呼ばせてもらいますね。キミーが参加してくれた2020年は Future Accelerator Gatewayの初開催の時でした。私は当時、イベントの事務局メンバーの一人だったので、まだ学生だったキミーの初々しいプレゼンテーションを覚えています。熱量の高さがほかの登壇者の頭3つぐらい抜けていたことが印象的でした(笑)。

― Future Accelerator Gatewayでは惜しくも優秀賞を逃されましたが、そこから、どのように丸井グループとの共創が始まったのでしょうか?
勝見さん:ありがたいことに後日ご連絡をいただき、あらためて丸井グループCEOの青井さんを交えて、将来世代に向けてどんなことができるのかという対話をさせていただく機会が得られたんですね。その中で、出資のお話をいただきました。
大沢:キミーから見て、丸井グループの印象はどうでしたか?
勝見さん:青井社長については、理想の状態を自ら描くビジョナリーな方で、マネジメントを超越したビジョンで人を引っ張っていくタイプだとお見受けしました。そんなトップの姿勢や生き様が社員の皆さんにしっかり浸透していて、企業のカルチャーになっている丸井グループってすごいと思いました。あと「将来世代」というキーワードがものすごく出てきて、こんなに次世代について本気で事業をやっている人たちがいるんだというのも驚きでした。
大沢:私がベースミーに感じたのは、丸井グループとの親和性の高さです。ベースミーが掲げている「自分の好きや価値観を生かして働く」ということは、丸井グループがめざしている「一人ひとりが好きを活かして創造性を発揮しながら働く」ことに極めて近いと感じました。共に、人々の能力やポテンシャルを存分に引き出すという目的に向かっているんですよね。
勝見さん:学生だった私にも謙虚に丁寧に対応していただき、とてもありがたかったです。同じビジョンを掲げているパートナーとして、同じミッションに向かって共創できることをとてもうれしく思っています。
― 丸井グループは「BaseMe」のユーザーでもありますが、採用担当としてどう評価していますか?
大沢: 現在、当社の採用の約1割が「BaseMe」経由の学生です。「BaseMe」に登録している学生の印象として、早期の段階から社会課題などに興味関心を持っていて、かつ、想うだけでなく、熱量を持ちながらアクションを起こしている学生が多いということが挙げられます。丸井グループの行っているビジネスを通じた社会課題解決との重なりはもちろん、「手挙げ」を通じた主体的な挑戦が文化として根付いている企業でもあるので、その部分でも「BaseMe」の登録学生とすごくマッチしているんです。その結果、内定後の承諾率が高いことに加え、入社後も丸井グループのカルチャーに適応して活躍するまでのスピードがすごく早いです。学生・丸井グループの両者にとって「しあわせ」な採用になっていると実感しています。
採用とは学生と企業が共に「しあわせ」になれる相手を探すマッチングだと考えてますが、「BaseMe」のサービスは、就活に際し、客観的にその人の価値観や志向を解析してくれるAIが搭載されていて、学生が自分自身を深く知る手助けができることが良いですよね。そもそも自分の価値観を深いレベルで理解できていない、言語化できない学生もたくさんいると感じているので。
勝見さん:うれしいお言葉をありがとうございます!実際に使っていただいたうえで、パートナーとしてプロダクトをより良くするご助言もいただけるので、いつも感謝しています。
― これまでの共創で印象に残っているものは何ですか?
勝見さん:先述の新卒採用もそうですが、最近でいうと、長期インターンシップ*の取り組みです。私たちには、学生の就職活動という60年間変わっていない情報の非対称性のシステムを改善したいという想いがあります。限られた期間しか学生が企業選択に必要な情報を得られないという課題に対して、丸井グループが注力している長期インターンシップの取り組みに携われていることは、大きな意味があると感じています。
長期インターンシップ*…学生が社会に出る前に実際の仕事を体験できる制度。短いもので 1カ月ほど、長いものだと 1年以上続けて参加するケース もある
大沢:企業からしても従来型の就職活動の、たかだか数十分の面接で人の能力やカルチャーフィットを見極めるのは、やっぱり難しいですし、日本の新卒採用全体を見てもこの構造自体にいよいよ限界が来ていると感じています。この現状に対し、私たちは長期インターンシップという新たな採用の取り組みを通じて、お互いに納得したうえでファーストキャリアを選べる文化を創りたいと思っています。
長期インターンシップ型の採用が丸井グループでも成功し、ほかの会社にも広がっていけば、昨今取り沙汰されている入社後のアンマッチによる早期退職などの社会課題の解決にもつながるのではないかと考えていますし、日本の就活もきっと変わるはずです。まずは丸井グループで成功させなければ話は始まらないので、ベースミーさんとの共創を通じてこれを実現していきたいです。
勝見さん:バイアスをなくして、ちゃんと体験して実感すれば、自分に合う職種や業界は何かということがどんどんシャープになります。今後、大学生だけでなく、高校生や中学生、あるいは第二新卒や社会人の領域にも広げていきたいと考えています。

― 現在、感じている課題、取り組みを通じて解決したいことは何ですか?
勝見さん:テクノロジーは、常に「できない」を「できる」に変えてくれるものだと思っています。なので僕が今一番課題に感じているのは、就活というユーザーにとっての構造的な負を、テクノロジーで解消すること。就活を本気で変えたいんです。
資源が限られていて、人口減少も加速する日本において、一人ひとりが持っているポテンシャルをどれだけ引き出せるかが、国の競争力に直結する。それなのに、就活という60年間変わっていないシステムが、人と仕事のミスマッチを生み続けている。これはもはや社会インフラの問題なんです。
やっぱり「好きこそ物の上手なれ」で、「好き」を起点にキャリアを選んだ人は、パフォーマンスも定着率も高い。実際、「BaseMe」を通じてマッチングした学生の内定承諾率や入社後の活躍度合いを見ていると、それがデータとしても裏付けられつつあります。僕たちが就活特化AI Agent「BaseMe」で実現したいのは、一人ひとりの「好き」をAIが構造化して、スキルや業界、職種との接続点を見つけ出すこと。しかもそれを一度きりの診断で終わらせるのではなく、「Ken」が継続的に対話しながら「好き」の解像度を一緒に上げていく。「好きなことは仕事にならない」という思い込みを、AIの伴走とデータの力で覆していく。それが私たちの挑戦です。
大沢:好きなことを仕事にできたら良いなと思いながら、これまでは、仕事ってそんなもんじゃないよって多くの人が諦めてきた。でも、諦めるのをやめる世界にできたら、本当にすてきだよね。
勝見さん:加えて、コミュニティの領域にも取り組みを広げていきたいと思っています。今、就活特化AI agent「BaseMe」には5万人以上の学生の価値観データが蓄積されていますが、就活の直前に初めて自分の「好き」を考え始めるのでは遅いんですよね。 アメリカでは大学の専攻やGPAが就職活動において重要視されていますが、日本においてもやがて、自分の興味や学びたいことを明確にして、それが将来の仕事にどう結びつくかを考えることが大切になると思うんです。
だからこそ、就活を考える前の大学1、2年生の段階から、AIキャリアエージェント「Ken」に伴走してもらいながらキャリアの解像度を上げていく。そうすると、2年分の対話データが蓄積された状態で就活に入れるので、AIキャリアエージェント「Ken」のアドバイスの精度が圧倒的に変わるんです。 「好き」を仕事にするために、どのように「好き」を育むといいのか。その "育む" プロセス自体をAIが伴走できるのが、僕たちの強みだと思っています。
大沢:一人ひとり、自分が一番輝ける場所で働かないと、企業、ひいては日本全体の生産性も高まらないですし、創造性に溢れた良い付加価値って生まれてきませんからね。その場合、受け入れる企業としては、「好き」や得意を活かして働ける場所があるということをどれだけ伝えられるかが、大事になってくると思います。
丸井グループでは現在、「好き」を応援するビジネスを事業の中心に据えているので、世の中にいる「好き」や得意を活かして働きたいという方たちの想いを受け止め、活躍してもらえる場になれると信じています。そして、それをベースミーと共にファーストランナーとして走り出せていることにやりがいや意味を感じています。

― これから一緒に取り組んでいきたいことを教えてください。
勝見さん:私は AIです。今までは「好き」のHOWがなかったんですよね。それこそまさに情報の非対称性なんです。例えば「漫画が好き」という人の場合、プロの漫画家じゃなくても、自分の「好き」に最も近い仕事って何か必ずある。それをレコメンデーションすることがAI でできることだと思っています。
大沢:良いですね。加えて、採用の場面だけじゃなくて、その人の入社後の活躍にまで踏み込めるともっと良いかも。同じ会社でも、自分が力を発揮できる場所とそうじゃない場所がありますから。「BaseMe」を経由して会社に入った人たちがより活躍できるための価値観の展開までできると、我々がやりたいと語った世界がもっと早期に実現できるんじゃないかな。
勝見さん:確かに。入社したら終わり!ではなく、「入社後にご活躍いただいているのか、企業と本当にマッチしているか」、実はここが一番把握しなければならない部分です。「好き」をどれだけ頑張れるかが見極めるポイントかなと思っています。「好き」をどう育んで、よりインパクトに変えられるのかは、入社後の取り組み次第。ぜひ共創したいですね。
大沢:ジョブローテーションの多い丸井グループはこの上なく良い実験の場だと思いますよ!
勝見さん:そうですね!ありがとうございます。
近年、「うちと何かできませんか?」といった引き合わせが増えているのも、丸井グループとの取り組みが評価されているからだと思います。共創の取り組みそのものが、社会の中でイノベーションがまだ起きてない部分を変えていくきっかけにもなっていると感じています。
大沢:キミーと出会ってから4年経ちますが、熱量がさらに上がっている。情熱を持ち続けている限り、キミーの周りには仲間が集まってくるんだと思うし、その結果、ビジネスを通じた良い価値がたくさん生まれてくるんだろうなと思います。こうしてさまざまな形で共創ができていることが、親戚のお兄ちゃんとしても、めちゃめちゃうれしい(笑)。両社にしかできない取り組みをスピーディーにどんどん進めていきましょう。
勝見さん:はい、むっちゃ気合が入りました。引き続きよろしくお願いします!