
「個のエンパワーメント」という共通の価値観でフリーランスに特化したエコシステムを構築 Partner's Interview#10 ランサーズ
丸井グループでは、さまざまな企業・人と力を合わせてインパクトを生み出す「共創」の取り組みを進めています。共創にかかわる社員やチーム数も増え、店舗でのイベント開催やエポスカードとのコラボ、物流での協業など、常にさまざまな取り組みが行われています。
「Partner's interview」では、そんな丸井グループの共創の最新事例や、担当者による想いをご紹介!
第10回は、フリーランスマッチングプラットフォーム「ランサーズ」を提供しているランサーズ株式会社さまとの共創についてお届けします。
共に取り組みを進める2社の担当、3人にお話をうかがいました。

〈今回の鼎談パートナー〉
上野 諒一さん(右)
ランサーズ株式会社 取締役 兼 執行役員 マーケットプレイス事業領域担当
名和 弘倫(左)
瀨田 純平(中)
株式会社エポスカード フィンテック事業推進部 金融サービス開発担当
─ ランサーズの起業の背景やミッションを教えてください。
上野さん:「個人の力がネットを通じて、企業の力になるすごさを広めたい」という、弊社代表の秋好の想いが起業の発端です。秋好は、学生時代にインターネット関連のベンチャー企業を立ち上げた際に「個人が企業から仕事を受注して報酬を得る」という体験があり、就職してインターネットサービスの企画/開発部門で業務を発注する側になった時に「あの時みたいに個人に頼むことができたら良いのに」と感じ、個人と企業のマッチングサービスのビジネス化を思い立ったんですね。
そして、2008年4月にランサーズ(当時「株式会社リート」)を設立し、同年12月に日本初のクラウドソーシングサービス「ランサーズ」をリリースしました。
─ 上野さんはどのようなきっかけでランサーズに入社されたのでしょうか。
私は、学生時代に友人たちがそれぞれ理由は違えどもやりたい仕事を断念せざるを得ない姿を見て、志を持っている人たちが働きがい、やりがい、生きがいを持って活躍できる、もっと柔軟な世の中にしたいと思って、大学院一年から就活を開始しました。
その過程で「個のエンパワーメント」をミッションに掲げるランサーズに出会い、ここなら自分がやりたいこと、叶えたい世界の踏み込めると思い、大学を辞めて就職し、今日にいたります。
─ 丸井グループとランサーズの共創のきっかけを教えてください。
名和:もともと私たちは、新たな金融サービスを検討する公認イニシアティブに取り組んでいました。その際に、まだ接合できていない、ご支援できる方々がいらっしゃるのではないかという思いにいたり、それをひも解く中で出てきたカテゴリーがフリーランスの方々でした。しかし私たちはフリーランスの方とまったく接点がない。そんな時にランサーズの方々と出会い、お話をしてみると、ランサーズの「個のエンパワーメント」というミッションと、丸井グループがめざす「一人ひとりのしあわせ」という考え方ががっちりマッチしていることがわかりました。
上野さん:ランサーズと丸井グループって、社員の雰囲気もなんか似ていますよね。
名和:そうですよね。組織の成り立ちや形はまったく異なるのですが、考え方の方向性やめざしているものが似通っていて、クロスオーバーする部分がとても多いです。それが共創を進めるうえで強みになったと感じています。
─ 丸井グループ、エポスカードとの共創の魅力、メリットはどうとらえていらっしゃいますか?
上野さん:ランサーズは、フリーランスの方が働きやすい、生きやすい世界を実現していただくために、働く場や案件の供給などを行っていますが、それ以外の部分にはまだまだ課題があります。
中でも仕事や生活と密接にもかかわらず、専門性が高くて簡単には参入できない領域が金融です。その部分に対して、丸井グループと補完関係が築けて共創できたメリットは大きいです。先ほど、お互いの雰囲気が似ているという話がありましたが、丸井グループは、ほかの金融系の企業と比べて、堅過ぎないというのも魅力の一つ。「当社では」とか「この業界では」という話になりがちなところも、ともにユーザーファーストで会話ができる点もすごく良かったと思っています。
名和:今回、できるだけ早くフリーランスの方にサービスを提供したいとスピードアップにも努め、経営層とメンバーが一体となって着想から一年半で発行を実現することできました。さまざまなことに「秒」で対応されているランサーズさんにしたら、物足りなかったかもしれませんが。
上野さん:正直、もうちょっと早ければなあとは思いました(笑)。でも、金融関連は届出や審査も多く、システムも多少不具合が起きても修正してリリースすれば、という訳にはいかないんだろうなと理解していました。尽力に感謝しています。
─ 「ランサーズカードVisa」のポイントを教えてください。
瀨田:ランサーズが提供するフリーランス向け受発注プラットフォームでの該当者の仕事の実績データと、丸井グループの与信ノウハウをかけ合わせることで、勤務先の記載ができないフリーランスの方々にもクレジットカードを発行できる仕組みを構築しました。エポスカードが他社さまの実績データを与信に反映するのは初めての試みです。
上野さん:ランサーズのサービスは、フリーランスの方がお金を支払って使うサービスではなく、支払うのは発注側で、フリーランスは受け取る側。だからこそ、従来の提携カードと同じように、商品購入やサービスに支払った額に対して特典(割引など)を与えるといったことを実現するのは難しくて、そこは苦労しましたね。
その中でも、特にこだわったのはスキップ払いです。フリーランスはプロジェクトのリスケや延長によって、納品が先延ばしになるケースも少なくありません。そうすると当然、発注先からの入金が遅れ、その結果、生活やカードの支払いに支障をきたしてしまう。そこを何とかサポートしたいと、がんばってもらいました。
名和:正直申し上げると、スキップ払いでは収益はプラスにならないのですが、アンケートやインタビューを通じてフリーランスの方の声をお聞きすると、リボや分割を使いながら、かつスキップも使うという風に、支払いの選択肢として使われていることがわかり、それならとGOが出ました。
実際にその通りに使われているので、事前のインタビューをさせていただいて非常に良かったと思いました。
─ 一方で、難しいと感じていることはどんなことでしょうか。
上野さん:ランサーズでとても良い実績があっても、過去に支払いの遅延などで与信が通りにくい方が意外と多かったことでしょうか。このカードではむしろ、そういった方々の再挑戦を応援していきたいと思っています。
名和:それに関して、与信をどう進化させるかが急務だと考えています。過去のネガティブな実績のみで判断するのではなく、現在のランサーズのデータを判断基準にすることも可能だと思いますので、どうチューニングするかが今後の課題だと考えています。
─ 今後の共創の拡大に向けて考えていることや、叶えたい未来についてお聞かせください。
瀨田:ランサーズに登録されているユーザーの方々にもっと支持いただけるカードに進化させるため、10月から特典付きの入会キャンペーンをスタートします。また、発行から1年になる来春までに、今後、どのようなアップデートが必要なのかをユーザーインタビューを含めて検討したいと考えています。
名和:ランサーズはフリーランスだけでなく、発注側である企業さまともつながりがあります。そちらに対しても、例えば2年前にスタートしたオーナーカードのような取り組みをご提供することで、ランサーズのプラットフォームの両サイド、フリーランスと企業双方のご支援させていただけたらと思っています。
上野さん:ランサーズでフリーランスとして仕事を受注していた人が、事業が拡大して社員を数人雇って発注する立場になるというケースもありますから、カードがそういうところにつながっていくと良いですね。
瀨田:クレジットカードに自分のデザインやイラストが使われるという良い機会をフリーランスの方に提供したいとデザインを公募しましたら、最終的に535件の応募があって、反響にびっくりしました。
上野さん:どれも力作揃いで、選考が楽しいながらも大変でしたね。結局一つに絞れなくて急遽2案採用したのですが、選択肢ができて良かったと思っています。
カードができて感じたのは、私たちはユーザーがサイトにアクセスしていただかないとつながれませんが、たとえば財布を開いてカードを見るたびに、ランサーズを心に留めてもらえるようになるのではないかということです。フリーランスの方々に、困った時はランサーズカードでスキップ払いができるといった安心も与えることができる。そんな存在になる姿を描きたいと思っています。最終的には、ランサーズカードが当社の登録者に限らず、フリーランスの方々のライフサイクルに入っていければいいなあと考えています。
名和:今回の取り組みでその一歩が叶えられたと考えていますが、より多くの皆さんに長くお付き合いをしていただけるカードにすべく、アップデートを重ねていきましょう。今後ともよろしくお願いいたします。
