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「経営ビジョン&戦略ストーリー2031」の裏側

今年5月、丸井グループは2031年の創業100周年に向けて「経営ビジョン&戦略ストーリー2031」を発表しました。

このビジョン&戦略ストーリーの策定にあたり、取締役を中心とした役員が長時間にわたり対話を行いました。今回は年に1度行われる取締役会合宿での対話を一部抜粋してご紹介いたします。

<取締役会合宿について>

丸井グループでは、2022年から社外取締役も含めた全取締役が参加する合宿を年1回実施し、中長期戦略の検討や決算説明会、IR DAYで当社が発信すべきメッセージについてなど深い議論を行っています。

2025年3月に実施した第4回の合宿では、2031年の創業100周年に向けた次期中期経営計画を、環境変化、数値計画、人材戦略などさまざまな角度から検討しました。

また、議論の場を普段とは異なる空間に移すことでいつも以上に議論が白熱し、本音で話し合うことができました。

<合宿での対話テーマ>

1.現中期経営計画の振り返り

2. 次期中期経営計画におけるビジョンと戦略の骨子

 ・好きが駆動する経済のビジョン策定に向けて

 ・リスクについて

 ・企業価値向上に向けたKPIの考え方について

 ・株主還元の考え方について

3. 次期中期経営計画における人材戦略

4.インパクトの実現に向けて丸井グループはどのように社会を巻き込みリードするのか?

<リアルな議論の現場を公開!> 

取締役会合宿では、2日間にわたりさまざまな視点から新たな中期経営計画について議論が行われ、「経営ビジョン&戦略ストーリー2031」の骨子を作成しました。取締役会メンバーである執行役員と社外取締役の白熱した議論から一部をご紹介いたします。

ピーダーセン取締役:
今後の方向性で掲げた「『好き』が駆動する経済」はとてもワクワクするコンセプトだと思う一方、イベント・グッズ・カード戦略が中心では、「『好き』が駆動する経済」という名前が与える印象と乖離があるように感じる。
(ドラッガーが唱えるイノベーションになぞらえると)大きな社会的なニーズは何で、どう応えていくかが重要ではないでしょうか。「『好き』が駆動する経済」は非常に壮大なビジョンだと思うので、事業の方向性も新たな期待が持てる戦略の柱が必要です。

青井社長:
イベント、グッズ、カードの新自主運営ユニットは、今後の小売をどうしていくべきかを考えた時に、イベントグッズに特化したコンパクトな運営に転換していくことを表していて、「『好き』が駆動する経済」の全体を表してはいません。ビジョン、戦略、短期で取り組むことを整理し、「『好き』が駆動する経済」の全体を表せるようにしたいと考えています。

岡島取締役:
10年後、我々はどういう社会的価値と事業価値を出したいのか、それがファイナンシャル・インクルージョンということなのでしょうか。どういう価値を提供してくのかの定義が必要では?

中神取締役:
エポスカードの大都市圏以外の地域でのポテンシャルに着目したのはおもしろいですね。地方にて多様な働き方をされている方が、クレジットの信用サービスを利用する機会が少ないことは日本の構造的な問題です。
「好き」だけを見ると一見ガラクタのように見えてしまいますが、地方における信用サービスの問題解決の起爆剤が「好き」になるかもしれないとも感じました。今後コストプッシュインフレからディマンドプルインフレに転換した際に、本当にお金を使いたいものを提供するというのは、ファイナンシャル・インクルージョンになるかも。

青井社長:
経済合理性 の外側にある世界と、経済合理性と折り合いをつけるための「好き」が駆動する経済をめざしていきたいと考えています。
航空会社のカードが化石燃料を応援することになるなど、クレジットカードが名刺同様にアイデンティティを示す要素があるとすれば、クレジットカードを持つことで再エネを使うなど、行動の変化のきっかけとなるようにしたいですね。イベントやアプリを通じて認知を変える媒体となれると良いのですが。

岡島取締役:
まだ抽象度が高い段階なので、例えば「贈与経済のプラットフォームをつくる」のような、わかりやすい言葉で打ち出すことでブランディングする必要があると思います。

ピーダーセン取締役:
丸井はもともと創業から新しい暮らしを始める人などにすてきな暮らしができるような、人生の駆け出しを支援してきた歴史があります。そして今の成熟社会の時代、丸井グループは「好き」を応援する総合サービス業という会社になっていくのだと思います。
創業からの時間軸の大きな流れがあるとして、次にどのような戦略にしていくべきか整理が必要ですね。

青井社長:
現状における環境変化については、①デフレ経済からの転換、②キャッシュレス化、③AIなどによる生産性の追求から創造性がある働き方への転換などがありますが、「好き」を応援するビジネスとして、このぐらいの時間軸・スケールでどうビジネスモデルチェンジしていくのかを検討しています。

ピーダーセン取締役:
今後丸井グループは、世界とどのように付き合うかという観点もありますね。海外から日本へ来る人をどうお客さまにしていくかなども検討すべきです。これは、信用の共創といった文脈もありますが。

青井社長:
現中計では期中にインパクト目標を設定したため、インパクトと中計に乖離がありました。次期中計は、インパクトに基づいて戦略ストーリーを策定したいと考えています。


このような白熱した議論の末、5月に発表した「経営ビジョン&戦略ストーリー2031」の骨子が完成しました。その後、セグメント別に具体的な戦略立案、数値目標の設定などが進められ、5月に行われた2025年3月期決算説明会にて、創業100周年に向けた中期経営計画として「経営ビジョン&戦略ストーリー2031」が発表されました。

丸井グループはこれまで、小売・フィンテック・未来投資の三位一体のビジネスモデルで取り組みを進めてきましたが、今後は、「好き」を応援するカードを展開するフィンテックを中心に、従来の小売、未来投資といった枠を超え、人や組織といった事業以外のものも含むすべてを通じた「好き」を応援するビジネスに転換していきます。

詳細は以下よりご覧ください。

経営ビジョン&戦略ストーリー2031