2026.08.18
販売もバイヤーもDX推進も「誰かを想うこと」が原点【カラフルキャリア~私の原動力~#31】
丸井グループでは「お客さまのお役に立つために進化し続ける」「人の成長=企業の成長」を経営理念に掲げ、人的資本経営に取り組んでいます。手挙げ制による自主的な学びの場への参加やグループ間職種変更など、多くの社員がさまざまな経験をそれぞれのキャリアに役立てて活躍しています。 連載「カラフルキャリア~これが私の原動力~」では、多様なキャリアで活躍する社員に注目し、その原動力をひも解いていきます。
今回は、丸井グループ DX推進室で活躍する伊藤真さんにお話をうかがいました。

お客さま視点を起点に、グループ全体の変革に取り組む
─はじめに、伊藤さんの現在のお仕事について教えてください。
丸井グループのDX推進室に所属しています。DX推進室では、各事業や部署と連携しながら、デジタル・ITを活用したお客さま体験の向上や業務変革の推進に取り組んでいます。部署ごとに抱える課題を個別に解決するだけではなく、グループ全体の視点で課題をとらえ直し、新たな価値創出につなげることが役割です。私自身は、各部門の取り組みをつなぎながら、理想と現実の間を埋めるために解くべく課題を定め、社内外のステークホルダーと連携し、実行していく役割を担っています。
入社してすぐの販売員時代は店舗にお越しになるお客さまを、その後グッズ課でバイヤーをしていた時は全グッズ売場に来店されるお客さまを思って仕事をしていました。そして今は、丸井グループ全体にかかわるお客さま体験をより良くするために働いています。一見すると販売やバイヤーとは異なる仕事に見えるかもしれませんが、自分の中ではこれまでの経験がすべてつながっています。デジタル・ITはあくまでも手段であり、その先にいるお客さまへより良い価値を届けることが目的だと考えています。
「人に寄り添う仕事」が就職活動の軸だった
─これまでさまざまな職種を経験されていますが、そもそもどのような想いで丸井グループへ入社されたのでしょうか?
私が就職活動をしていたころ、志望していたのは百貨店業界とハウスメーカー業界でした。
一見すると異なる業界ですが、自分の中には明確な共通点がありました。それは、「人に寄り添える仕事がしたい」という想いです。百貨店はお客さまと長い時間をかけて向き合うことができますし、ハウスメーカーも人生で一度あるかないかの大きな買い物に寄り添う仕事です。どちらも単なるモノ売りではなく、人とのかかわりを通して価値を届けられる仕事だと感じていました。
自己分析を進める中で、私は誰かへのプレゼントを選んでいる時間に大きなしあわせを感じることに気づきました。相手に「何が似合うだろうか?どんなものなら喜んでくれるだろう?」そんなことを想っている時間が好きでした。だからこそ、より多くの人のことを想い、そのお役に立てる百貨店業界という仕事に魅力を感じ、丸井グループへの入社を決めました。
販売の現場で学んだ、お客さま視点の大切さ
─入社後、配属先の売場ではどのような経験をされましたか?
入社後は新宿マルイ 本館の雑貨統合ショップへ配属となりました。入口から入ってすぐのハンカチやソックス・ストッキングといった日常使うグッズや、帽子・マフラー・手袋といったファッショングッズを取扱うショップです。毎日非常にたくさんのお客さまが来店され、年齢や性別、国籍も異なるさまざまなお客さまと出会い、一人ひとりに合わせたご提案を考える毎日でした。その中で強く感じたのは、「お客さまを最も理解しているのは、自分自身だ」ということです。お客さまが何に困り、何を求めているのか。どんな価値に喜びを感じるのか。毎日接しているからこそ感じられる気づきがたくさんありました。現在、どの職種で仕事をするうえでもまず、「お客さまはどう感じるか?」を想うようにしていますが、その原点は間違いなく販売員時代の経験にあります。
「自分でつくったものを届けたい」という想いからバイヤーへ
─その後、バイヤーにチャレンジされたきっかけを教えてください。
2016年に売場から本社の専門店事業本部グッズ課へ異動し、傘・マフラーやEC担当バイヤーを経験させていただきました。バイヤーになったきっかけは、ある先輩バイヤーとの出会いです。販売応援で店舗に来ていたその方は、自ら企画したPB(プライベートブランド)商品をお客さまへ提案していました。お客さまの悩みに耳を傾けながら、その商品にどのような価値があるのか、自信を持って説明している姿がとても印象的でした。その姿を見て、「自分でつくったものを自分で届けられる仕事がしたい」と思うようになりました。販売員として非常にたくさんのお客さまの声を聞いてきたからこそ、その声を商品づくりに活かしたいという気持ちが強くなり、バイヤーへ手を挙げました。
その後、実際にPBの商品開発へ携わるようになると、「こういう商品が欲しい」というお客さまの声を形にしていくおもしろさを実感しました。振り返ると、販売からバイヤーへの異動は職種変更というより、「想う相手」が広がった経験だったと思います。自分が所属する店舗にお越しになるお客さまだけではなく、マルイ全体のお客さまを想いながら仕事ができるようになりましたので。

伊藤さんが携わったPBの晴雨兼用傘
人を巻き込みながら価値をつくるおもしろさ
─これまでのキャリアの中で、特に印象に残っているエピソードはありますか?
グッズ課でECの担当バイヤーをしていた時の、店舗からECへのリーフレットによる送客施策が特に印象に残っています。当時バイヤーとして経験の浅かった私は、さまざまなECバイヤーの先輩と店舗担当のバイヤーの先輩から、多くを教わりました。まず行ったのはデータ分析です。どのブランドをリーフレットに掲載すれば効果が高まるのか、お客さまの購買データを分析しながら内容を設計しました。次に掲載内容が決まると、担当バイヤーへブランド各社への掲載許諾の依頼をしたり、そのリーフレットを店頭で配ってくれる販売員への説明と協力依頼を行ったりなど、多くの関係者との調整が必要でした。特に当時は「ECへ送客=顧客と売上をECにとられる」といった認識を持つ社員もおり、ECと店舗両方使ってもらうことによる小売事業全体のメリットを理解してもらうことに苦心しました。
この経験を通じて学んだのは、「良い企画だけでは人も物も動かない」ということです。なぜ必要なのか。お客さまにどんな価値を届けるのか。その意義を、同じグループ内でもさまざまな利害関係を持つ関係者に伝え、共感していただきながら一緒に進めることで初めて企画は実現します。多くの人を巻き込み、価値を形にしていく経験は、その後のキャリアにも大きな影響を与えました。
グループデザインセンター、人事部を経てDX推進室へ。キャリアの幅を広げる挑戦
─バイヤー以降もさまざまな職種を経験されていますね。
2018年にはグループデザインセンター*へ異動し、その後は人材開発課、人事企画担当とキャリアの幅を広げてきました。また2019年には次世代経営者育成プログラムであるCMAにも参加しました。 異なる職種を経験する中で感じたのは、どの仕事も最終的には「人」と向き合う仕事だということです。商品を通じてお客さまと向き合うのか、人材育成を通じて社員と向き合うのか。対象は違っても、本質は変わりませんでした。さまざまな領域で経験を積めたことが、現在のDX推進室での仕事にも活きていると感じています。
*グループデザインセンター:丸井グループのデザイン経営と新規事業推進を通じて、ステークホルダーのエンゲージメント・企業価値向上に貢献する組織
私の原動力は「誰かのことを想うこと」
─そんな伊藤さんの仕事をするうえでの原動力を教えてください!
私の原動力は、「誰かのことを想うこと」です。就職活動のころから、その想いは変わっていません。販売員、バイヤー、人事、DX推進と職種は変わりましたが、常に「相手の役に立ちたい」という気持ちを持って仕事をしてきました。振り返ると、自分のキャリアは「想う相手」が広がり続けた軌跡だったように感じます。販売員として店舗にお越しになるお客さまを想い、バイヤーとしてマルイ全店のお客さまを想い、DX推進室ではグループ全体のお客さまを想う。職種は変わっても、その本質は変わっていません。その積み重ねが、今の自分をつくってくれていると思います。
オンラインとオフラインをつなぎ、さらにその先へ
─最後に今後チャレンジしたいことを教えてください。
今後は、オンラインとオフラインをシームレスにつなぐ顧客体験づくりを加速させていきたいと考えています。丸井グループではこれまでも取り組みを進めてきましたが、まだ大きな可能性を感じていますし、デジタルを活用することで、お客さま一人ひとりに合わせた価値提供ができると考えています。ただし、デジタル化そのものが目的ではありません。お客さまがより便利に、より楽しく、より自分らしくサービスと出会える環境をつくることが目的です。
私は2022年にマネジメント職にチャレンジし、現在にいたります。その背景には、自分に期待してくださった方への感謝と、その期待に応えたいという気持ちがありました。さらに、より大きな役割を得ることで、より多くの人に価値を届けられると考えたことも理由の一つです。ただ、肩書きや役割が変わっても、私の原点は変わりません。小売が好きで、商品が好きで、お客さまに喜んでいただくことが好き。その気持ちは入社当時から今まで一貫しています。
これからも、一人でも多くのお客さまの役に立ちたい。そして、より多くの人に喜んでいただける顧客体験を生み出したい。その想いを胸に、挑戦を続けていきたいと思います。

今でも親交が深いグッズ課在籍していた時の仲間たち(2017年撮影)