2026.08.29
投資から「日常の決済」へ。ビットバンクとの日本初タッグで描く、暗号資産が生活に溶け込む新しい金融体験 Partner's interview #14
丸井グループでは、さまざまな企業・人と力を合わせてインパクトを生み出す「共創」の取り組みを進めています。「Partner's interview」では、丸井グループの共創の最新事例や、担当者による想いをご紹介します。
第14回は、暗号資産取引所「bitbank」を運営する、2014年設立の暗号資産関連事業を展開するビットバンク株式会社です。共に取り組みを進める三名にお話をうかがいました。
〈今回の対談パートナー〉
伊藤 裕樹さん(中央)
ビットバンク株式会社 営業部門 事業開発部 クリプトビジネスチーム
横井 雄佑(左)
株式会社丸井グループ プロジェクトF
石井 宏典(右)
株式会社丸井グループ プロジェクトF
世の中に浸透してきた「暗号資産」
―まずは、ビットバンクの事業について教えてください。
伊藤さん:ビットバンク株式会社は、暗号資産の普及と市場の発展をめざし、ビジネスを展開する暗号資産交換業者です。私たちが運営する暗号資産取引所「bitbank」は、創業以来、ハッキング被害ゼロを実現する信頼性の高いセキュリティを強みとし、44種類の暗号資産を取り扱っており、すべて日本円の売買に対応しています。
―伊藤さんはビットバンク株式会社でどういったお仕事をされているのでしょうか。
伊藤さん:事業開発部のクリプトビジネスチームで、暗号資産を活用した新しい事業やサービスの企画推進を担当しています。丸井グループと協力してリリースにいたった「EPOS CRYPTOカード for bitbank」では、企画の検討から丸井グループの皆さまとの協議、全社横断的な調整、そしてリリースまで、一連のプロセスにかかわってきました。私自身、暗号資産をただ取引するものとしてだけではなく、もっと日常の生活に近いところで活用できるものにしたいという想いがあり、「EPOS CRYPTOカード for bitbank」はまさにそれに合致した取り組みの一つだと思っています。
―暗号資産と聞くと難しい印象なのですが、そもそも暗号資産とはどのようなものなのでしょうか。
横井:インターネット上でやり取りできる、電子的な「財産的価値」です。国や中央銀行のような特定の管理者が存在せず、ブロックチェーン技術を基盤にして、取引の記録をネットワーク上で共有・管理できることが特徴です。
―では、日本の暗号資産を取り巻く環境は、現在どのような状況なのでしょうか。
伊藤さん:これまで暗号資産は、「資金決済法」のもとでルールが整備されてきましたが、この数年で制度や社会的な位置づけが大きく前進しようとしています。その背景にあるのが、制度改正です。2027年中に施行予定の制度改正により、暗号資産は「金融商品取引法」の枠組みへ移行し「金融商品」の位置づけとなります。これにより、投資家保護や市場の公正性・透明性の確保に向けた環境整備がさらに進み、暗号資産が資産として広く受け入れられていくと考えています。
現在、国内の暗号資産交換業者の口座数は、2026年6月時点で約1,400万口座*に達しています。こうして数字で見てみると、暗号資産は多くの方に利用される資産、投資対象になってきていることがよくわかります。
* JVCEA(一般社団法人日本暗号資産等取引業協会)「会員の暗号資産取引状況表(月次)」より
―口座数がそんなにあるとは、正直想像以上に多くて驚きました。
伊藤さん:資産形成における多様な選択肢の一つとしても、暗号資産は徐々に受け入れられつつあります。暗号資産取引所では、暗号資産を少額から購入できることや、24時間365日取引できることなど、既存の金融商品にはない特徴もあり、投資家の選択肢を広げる存在になっています。また、米国ではビットコイン現物ETF*の承認を契機に、個人投資家だけでなく機関投資家による市場参加も進み、投資対象として受け入れられる動きが広がっています。
*ビットコイン現物ETF:ビットコインの価格に連動する上場投資信託
「EPOS CRYPTOカード for bitbank」の何が革新的だった?
―では、そんな暗号資産の世界で「EPOS CRYPTOカード for bitbank」はどのような役割を果たすのでしょうか。
伊藤さん:「EPOS CRYPTOカード for bitbank」は、暗号資産を「取引所の中で売買・保有するもの」から「日常生活とつながるもの」へと広げるカードです。エポスカードを日常のお買物で利用することで暗号資産の還元を受けることができ、これまで暗号資産を購入したことがない方にも、生活の延長線上で暗号資産に触れていただくことができます。一方、すでに暗号資産を保有している方は、当社が運営する「bitbank」の口座内のビットコインを売却して、売却代金をカードの利用代金に充てることができます。
「EPOS CRYPTOカード for bitbank」自体は、ブロックチェーン上でカード決済を行うサービスではありませんが、デジタル資産と既存の金融、決済サービスをつなぐという意味では、金融のデジタル化が進む中で生まれた、具体的かつ新しい体験だと考えています。

―生活の延長線上で暗号資産に触れられることの何がメリットなのでしょうか。
伊藤さん:暗号資産は、自分で「買ってみよう!」とか「取引所で取引してみよう!」と思わなければ手にする機会がないですから、最初の一歩のハードルが高いと思うんです。「EPOS CRYPTOカード for bitbank」があれば、このハードルが下がり、日常の買い物の延長線で自然と暗号資産に触れる機会が生まれ、お客さまの資産形成に「選択肢」が生まれると考えています。
横井:「暗号資産」と聞くと、「なんだか難しそう」「怖いな」と思う方もいると思います。仮に興味があっても「どうやって買えばいいかわからない」「損しそうで怖い」と踏みとどまってしまう方もいます。
でも、自然と手に入る仕組みがあれば、その心理的ハードルを越える必要がありません。手にした後、興味を持ったらいろいろ調べればいいですし、調べた結果「良いものだ」と思ったなら、その時は自分のお金で買えばいいわけです。お客さまがより自分に合った資産を形成するための後押しになると思っています。
石井:還元だけでなく「支払いへの活用」もできる点は非常に革新的ですね。もちろん、暗号資産だけではなく銀行口座の現金で支払うことも可能で、支払い方法を毎月スイッチングできる柔軟性があります。
伊藤さん:暗号資産取引所「bitbank」の口座の暗号資産を活用して支払いができる点。還元される暗号資産を選べる点。支払い方法を銀行口座と暗号資産で毎月切り替えられる点。この三点を満たすサービスは日本初なんです。
支払いについて補足すると、従来複数のステップが必要だった暗号資産決済も、「EPOS CRYPTOカード for bitbank」ならカード利用だけで完結します。このスキームができたのは、二社のタッグがあったからこそだと思っています。

横井:「使う」と「貯める」って相反するイメージかもしれませんが、クレジットカードにおいては「お金を”使って”ポイントが”貯まる”」というのはよくある話です。それを暗号資産の世界に持ち込めたのは、ビットバンク社・丸井グループそれぞれのセキュリティとノウハウがあったからではないでしょうか。
―そもそもの部分に戻りますが、ビットバンク社と丸井グループが共創の取り組みを始めるきっかけは何だったのでしょうか。
伊藤さん:直接のきっかけは横井さんからの熱烈なオファーでした(笑)
きっかけこそ熱烈なオファーでしたが、お話をしていくうちに丸井グループは店舗やクレジットカードなどお客さまとの接点が広く、加えてエポスカードを含めた信頼性の高いフィンテック事業を展開されています。勝手ながら、金融サービスを単なる「決済手段」ではなく、「お客さまの暮らしの選択肢」としてとらえているように感じていました。
石井:本音を言えば、「EPOS CRYPTOカード for bitbank」の企画が立ち上がった3年前、暗号資産は現在ほど浸透していませんでした。しかし横井はこの分野にとても興味があり、企画を実現するための熱意がすごかったんです。その熱意を伊藤さんが受け止めてくださったのが、大変ありがたかったですね。
横井:本当に、伊藤さんをはじめとするビットバンク社の皆さまは誠実で、私の想いをまっすぐ受け取ってくださいました。
伊藤さん:想いに共感したんです。優れた技術がその価値をより広く発揮するためには、実際に使っていただく機会を増やしていくことが大切だと考えています。では、利用されるためには何が必要なのか。私は安心感・信頼感・わかりやすさだと考えています。暗号資産やブロックチェーンといった新しい領域ならば、なおさらです。これらがそろって初めて多くの人が「利用」してその価値を享受できますから、ぜひお客さまから信頼されている丸井グループと一緒に、このプロジェクトを進めていきたいと考えました。
二社で実現する「今までにない金融のあり方」
―「EPOS CRYPTOカード for bitbank」という一つのサービスを二社でつくっていくのは、足並みをそろえるのが大変だったのではないでしょうか。
伊藤さん:もちろん困難もありましたが、一方で考え方が似ているからこその進めやすさもありました。
―「考え方が似ている」というのはどういう部分で感じられたのですか?
伊藤さん:「金融」を、一部の詳しい人だけではなく、より多くの人たちが「自分らしい選択」をするための力にしたい…という考え方です。私たちは、より多くの人が自ら金融資産について理解・判断できる環境を重視しています。「EPOS CRYPTOカード for bitbank」はまさに好例で、「bitbank」口座の暗号資産と、銀行口座の現金、どちらからの引き落としを選べる。還元される暗号資産の種類を選べる。つまり、複数の選択肢を用意して、お客さま一人ひとりが自分に合った使い道を選べる設計になっています。
横井:お客さま一人ひとりの「自分らしさ」を支える、ビットバンク社らしさと丸井グループらしさ、両方が表れたサービスの形ですね。
―最後に、両社がめざしていく未来について、うかがえますか?
伊藤さん:暗号資産の未来は、既存の決済インフラと自然に繋がっていく形で、電子マネーのように日常生活の中で身近に活用されるものになるのではないかとい思っています。現在は、いろいろな企業が電子マネーを決済手段として導入し、私たちも日常のさまざまな場面で利用できるようになっています。一方で、暗号資産を日常生活の中で活用できる場面は、まだほとんどありません。「EPOS CRYPTOカード for bitbank」はその未来への大きな一歩であり、ここからさらに進んでいく私たちと丸井グループの取り組みが、暗号資産と日常生活をつなぐ架け橋になっていくと信じています。
石井:丸井グループもビットバンク社も、めざすのは「すべての人」がしあわせな、ファイナンシャル・インクルージョン*の実現です。伊藤さんのお話にもあった通り、世の中で暗号資産や電子マネーが当たり前になっていくと、どうしても丸井グループの金融だけではカバーできない部分が出てくると思います。そんな時に、ビットバンク社の暗号資産事業で培ってきた知見や技術を活かして、「今までにない金融サービス」を提供していければ、一人ひとりが自分に合った金融サービスを選んで使える世の中になるのではないでしょうか。これはどちらか一社だけではなく、両社が力を合わせるからこそ実現できる世界だと考えています。
*ファイナンシャル・インクルージョン:貧困層、難民、高齢者、障害者など、さまざまな理由で金融サービスから取り残されている人々が、口座開設や融資、決済、保険といった基本的な金融サービスを適切に利用できるようにする取り組み
―「今までにない金融のあり方」とはどんなことを想定されていますか?
伊藤さん:例えば、ステーブルコイン*の送金などは、今後さらに浸透していくと思います。従来の銀行送金では、金融機関や送金先、時間帯などによって制約がありますが、ステーブルコインであれば、原則として24時間365日、時間を問わず送金することができます。そして、今は送金の利便性に目が向けられていますが、今後はさまざまな用途で使われるようになるでしょう。
*ステーブルコイン:日本円や米ドルなどの法定通貨や金などの現実資産と価値が連動するように設計されたデジタル資産
横井:あとは AIも重要なポイントですよね。今は別々に使っている金融サービスが、AIによってもっとつながっていく、そんな未来が訪れると思います。
例えば証券、銀行、クレジットカード、ポイント、暗号資産。今はそれぞれが別々のサービスとして利用されていますが、AIがそれらをシームレスにつなぐ。つまり、お客さまがサービスごとの差異をあまり意識せずとも、AIが目的にあったサービスを判断して使ってくれる世界になっていくと思います。
伊藤さん:そんな来たる未来に備え、暗号資産領域の発展にビットバンク社と丸井グループが力を合わせ、貢献していきたいですね。