戦後復興の担い手として
「家具・家電」の普及に貢献
創業期のビジネスは、家具の月賦販売でした。月賦販売は、家具を販売する時に、同時に信用を供与する、つまり、お金をお貸しするというもので、小売と金融が一体となったビジネスです。「信用はお客さまと共につくるもの」という共創の精神を持ってノウハウを積み上げてきました。お客さまにとって無理のない限度額を設定し、ご利用実績などを見ながら、少しずつ信用額を高めていく仕組みです。戦後、上層階級が没落し、誰もが同じような生活水準で暮らす大衆社会へと移っていく中、お客さまの欲しい商品や生活の変化にあわせて、電気洗濯機を始めとする家庭電化製品や高級服飾品・洋服にまで扱う商品を広げ、分割払いですぐ手に入る便利さを提供しました。
日本初のクレジットカードを発行
アメリカでは一般家庭でもカード1枚でテレビから冷蔵庫まで分割購入できる時代となっており、日本でもクレジットという信用供与システムが注目され始めていました。国民の消費を伸ばし、生活を豊かにするために政府と経済界が、割賦販売法の制定を目指し、消費者への信用の付与を検討する中、創業以来お客さまと信用を共に創ってきたことで蓄積されたノウハウを活かし、日本で初めてのクレジットカードを発行し、「クレジット時代の先駆け」となりました。与信業務・集金業務を合理化し、大幅な経費の節減・経営体質の強化も同時にめざしており、業界で初めてコンピューターを導入することで、「月賦販売の近代化」を牽引しました。このクレジット時代が本格的にスタートしたことで多くのお客さまの「計画的な人生設計」に貢献しました。
若者を中心とした「ファッションブーム」を牽引
世の中のニーズが耐久消費財からファッションへと移り「若者たちの感性」がトレンドを創る時代に、丸井が提案する分割払いは所得の少ない若者がファッションを楽しむことを可能にしました。創業間もないDC(Designer's&Character’s)ブランドが次々と丸井に出店、一緒にDCブームを盛り上げ、お取引さまと共に成長しました。一方で競合他社は、大きなニーズの変化で金融事業に特化していったため、小売と金融一体のビジネスモデルは丸井グループ独自のものとして進化していきました。
年代を超えた「ライフスタイル提案」と
汎用カード化
「社会の成熟化」にともない、個人の価値観が「モノの豊かさ」から「ココロの豊かさ」へ変化してきました。個人消費も「モノ消費」から「コト消費」にシフトしており、この傾向は今後も続いていくと考えられています。
お客さまの消費行動の変化やEC化・キャッシュレス化・少子高齢化など、長期的な社会課題への対応に向けて3つの取組みをおこないました。最初に取組んだのは、カード事業です。ハウスカードとしてマルイの中でしか使えなかった「赤いカード」から、世界中で使える汎用カードとして「エポスカード」の発行を開始しました。次に取組んだのは、顧客の拡大です。若者中心の品揃えや店づくり、接客などを見直し、全世代・すべてのお客さまをターゲットとしたビジネスへの転換をめざしました。もう一つの取組みでは、ライフスタイルへのニーズの変化に対応するために仕入れ中心の百貨店型商業施設から不動産型商業施設への転換をすすめています。
日本初のスキームで「つみたて投資専門の証券会社」を設立
丸井グループはファイナンシャル・インクルージョンの実現に向けた第一弾として、証券事業に参入しました。これまで、ごく一部の富裕層向けに提供されてきた資産形成のサービスを、若者を含めたすべての人に提供することをめざしています。事業参入の背景は、若者の将来への不安です。国民生活に関する世論調査(2017年6月)によると、18~30代の約6割が、現在の生活ではなく、「将来のため」に貯蓄などで備えていると回答しており、将来の備えを重視する若年層が増加しています。お客さまのお金への不安を少しでも和らげたい。安心してお金を育てていただきたい。考え抜いた結果、投資初心者を中心とした「すべてのエポスカード会員さま」に、国の基準をクリアした「つみたてNISA」対象の投資信託の購入を定期・定額のクレジット払いでつみたてていく日本初のスキームを確立しました。tsumiki証券(株)は、つみたて投資を通じて、若者を含むすべてのお客さまの「しあわせ」のお手伝いをしていきます。
すべての人が「しあわせ」を感じられる社会づくり
丸井グループは、時代と共に変化するお客さまニーズや社会の課題に対して、「インクルージョン(包摂)」をテーマに革新・進化を生み出し続けていきます。すべての人が「しあわせ」を感じられるインクルーシブで豊かな社会の実現をめざしていきます。
※事業再編により2013年度実績からフィンテック事業取扱高を掲出