1. トップ
  2. サステナビリティ
  3. ステークホルダーとの対話
  4. 2016年
  5. Dialogue 02 インクルージョン視点から見る丸井グループのビジネスの可能性

Dialogue 02インクルージョン視点から見る
丸井グループのビジネスの可能性

  • 斎藤 義則
    上席執行役員
    株式会社エポスカード 代表取締役社長
  • 佐々木 一
    上席執行役員
    株式会社丸井 代表取締役社長

丸井グループは豊かなライフスタイルを提供する企業として、お客さまの年齢・性別・身体的特徴などを超え、「すべてのお客さま」を丸井グループにインクルードし、幅広いお客さまにお喜びいただける商品・サービス・店舗のあり方を追求しています。小売セグメントとフィンテックセグメントの両社長が、それぞれの事業における「インクルージョン」への取組みと課題、グループ一体となったビジネスの可能性について語ります。

「すべてのお客さま」という発想がクリアになり、
「インクルージョン」に向けた視界が開けた

佐々木:2007年頃でしょうか。青井代表の「すべての人に」という言葉が始まりでした。当時の丸井グループは「ヤング層」への「ファッション」が主体で、自ずとお客さまを限定したビジネスに偏っていました。しかし、2010年に販売を始めた共創PB(プライベートブランド)の「ラクチンきれいシューズ」の開発にあたり、モノづくりからお客さまにご参加いただき、「インクルージョン」に向けた視界が開けたように思います。

斎藤:「すべてのお客さまに」という発想は、ターゲットを明確にしようとする従来のマーケティングを180度切り替えるものでしたね。

佐々木:最初は考えづらくて仕方がなかったです。しかし走りながらだんだん実感していきました。標準以外のサイズの方であったり、高齢者の方、障がいのある方、LGBTの方などを意識し、そこにある課題を解決しようと視点を切り替えてからです。お客さまからお喜びの声をいただき、成果が積み上がってくる過程の中で改めて、私たちのやるべきことは何だろうかと。単なるスローガンではなく、「すべてのお客さまに」という発想がクリアになっていきました。

斎藤:今では当たり前のように「すべてのお客さまに」と語れる時代になりましたね。

佐々木:その成果が「ラクチンきれいシューズ」であり、「博多マルイ」の店づくりです。実は私たちは、社会や世の中からは必要とされていたのに、企業側が応えていなかったのだと気づきました。次のステップとして並行して現在トライしているのが、シューズの「体験ストア」です。社会や地域の中に、解決されていない課題が実はたくさんあるのです。

企業視点からお客さま視点への変化が大きな転換

佐々木:お客さまはモノを買って「しあわせ」になるのではなく、モノを通じて、体験やコトを通じて「しあわせ」を感じるわけです。ではモノの先にある、お客さまが望んでいる「しあわせ」にスポットを当てていこうと、店づくりも具体的になり、視点がかなり変わりました。

斎藤:効率を重視する企業目線から、ご利用いただく「お客さま目線」に変化しましたよね。最上階にあったカードセンターも、お客さまの利便性を考えたエリアに配置しました。

佐々木:「博多マルイ」もまだ完成形ではありませんが、施設のハード面では、ユニバーサルデザインの専門家である九州大学や一般社団法人 生き方のデザイン研究所、株式会社ミライロにもご参加いただきました。トイレまでの距離を表示したり、電動車イス用の充電スペースを設置しました。一緒に取組まなければ気づかなかった視点が随分ありました。

斎藤:以前から指摘はあったものの、なかなか実現に踏み切れなかったことを、お客さま視点に立った共創活動の積み重ねで、背中を押されて実現できたのだと思います。

金融が身近になり、フィンテックの可能性が拡がる

斎藤:フィンテックがめざそうとしているフィールドは、実は丸井がずっとやり続けているフィールドだと思っています。クレジットカードは、与信枠の高い高額所得者ほど銀行系カードを保有する傾向が強いのですが、私たちは創業以来、若年層や低所得層のお客さまにも月賦やカードをご利用いただき、商品をご購入いただいてきた歴史があり、他社にはない与信審査基準を持っています。

佐々木:お客さまのお買物と返済の支払実績に応じて、ご利用いただける与信枠が拡がるという独自の仕組みは、「信用はお客さまと共につくるもの」という創業者の言葉そのものですよね。

斎藤:現在、丸井グループがフィンテック事業を通して提供できているサービスは、そういった理念に基づくクレジットカードを通した決済サービスがコアになります。しかし性別や年齢を問わず資産運用などへの興味は高く、金融ニーズも多様化しています。フィンテックがもたらす一番の変化は、これまで銀行や証券会社に足が向かなかった一般の生活者も、インターネットを介して金融が身近になってくることです。だから、「インクルージョン」と言った時、今後新たなビジネスとして発展していく可能性が多分にあると思います。

小売とフィンテックの一体化による
豊かなライフスタイルの提供

佐々木:5年後、10年後を見据えると、ネットでつながる社会が当たり前になります。シューズの「体験ストア」の場合、まずはサイズが重要な入口になり、その後にネット通販でお買上いただく際に、エポスカードにもご入会いただきます。この流れをご体験いただくと、今後は店頭でのお買物に限定せず、より多くのお客さまにお買上いただくことができます。店舗という体験の場、eコマースやカード、その裏側には内製化しているITや物流の事業があります。これら丸井グループの事業が一体となって戦略的に重ね合わせることが、新しい強みになるのではないかと思います。

斎藤:すべての業務が内製化され、事業が重なり合い統合的に運営されていることも強みだろうと思います。エポスカードも小売セグメントやシステム会社がなかったら存在できません。そして丸井グループ最大の強みは、小売と金融の両事業に精通した人材がグループ会社間を行き来することでノウハウが蓄積されていく点です。

佐々木:店舗・ネット・カードが三位一体となり、リアル店舗を持つ強みも最大限に活かしたビジネスモデルを構築することで、さらに多様なお客さまをインクルードしていくことが可能になりますね。

斎藤:事業においても、小売・金融一体の新しいインクルージョンを追求していくのが、丸井グループらしいと思います。両者のビジネスが一体になっている点こそ、私たちの強みですから。

佐々木:新しいことに挑戦する時、不確実な未来よりも目先の課題に目が行きがちになりますが、それよりも10年先や20年先の豊かなライフスタイルはどうなっているか。みんなでそれを想定し、実現しようと前にすすめるかどうかだと思うのです。それには私たち社員一人ひとりが、まず変わる勇気を持つ必要がありますね。

斎藤:エポスカードも、カードを通じてお客さまに「しあわせ」を感じていただいたり、いろいろな夢を感じていただけることをめざします。単に1枚のクレジットカードということではなく、いろいろなところでサービスが受けられるし、かゆいところに手が届くような、お客さまにとっていざという時頼りになる存在に。お客さま視点を追求していくことが私たちの使命だと思っています。丸井グループが部門を問わず一体となって、そういった風土を共に創っていきたいと思っています。

斎藤 義則

上席執行役員
株式会社エポスカード 代表取締役社長

  • 1986年3月当社入社
  • 2008年7月当社執行役員 財務部長
  • 2011年4月株式会社丸井 取締役 Web事業部長
  • 2013年4月株式会社エポスカード 取締役 提携事業部長
  •  10月株式会社エポスカード 取締役 営業本部長
  • 2015年4月株式会社エポスカード 常務取締役
    株式会社エムアンドシーシステム 取締役(現任)
  • 2016年4月当社上席執行役員(現任)
    株式会社エポスカード 代表取締役社長(現任)
    株式会社エムアールアイ債権回収 取締役(現任)

佐々木 一

上席執行役員
株式会社丸井 代表取締役社長

  • 1986年3月当社入社
  • 2007年10月株式会社エポスカード 取締役 カード企画部長
  • 2012年4月株式会社丸井 取締役 自主商品部長
  • 2013年4月当社執行役員
  • 2014年4月株式会社丸井 常務取締役 専門店事業本部長
  •  6月当社取締役
  • 2015年4月当社取締役 上席執行役員 小売・店舗事業担当
    株式会社丸井 専務取締役
    株式会社エポスカード 取締役
  • 2016年4月当社上席執行役員(現任)
    株式会社丸井 代表取締役社長(現任)

このサステナビリティサイトは、色覚障がい者の方々に配慮しています。

PAGETOP