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Dialogue 02「ESG」をめぐるスペシャリストと企業との対話

  • 徳田 展子氏
    東京海上アセットマネジメント株式会社
    株式運用部投資調査グループ
    兼 責任投資グループ ESGスペシャリスト
  • 戸井田 敦子
    株式会社 丸井グループ
    CSR推進部長
  • 寒竹 明日美
    株式会社 丸井グループ
    IR部 IR担当課長

丸井グループのESGへの対応

丸井グループでは、お客さまの声を聴くという共創の風土を長期投資家の皆さまにも拡げています。 長期投資家が企業価値をはかるうえでESG(環境・社会・ガバナンス)を重視する中、ESGスペシャリスト徳田展子氏との対談を通じて、丸井グループのESGの現状と未来を浮き彫りにしていきます。

「ESG」をめぐる投資家のとらえ方

徳田:日本では2015年9月に、世界最大の運用資産を有する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がESG要因を重視する国連責任投資原則(PRI)に署名したことで、ESGの重要性が改めて認識され始めています。
 当社においても、中長期的な視点で企業の価値を評価するにあたって、ESG要因を考慮することは必要不可欠であると考えています。現在、東京海上グループのCSR専門部門と連携し、投資プロセスに、より明確にESG要因を組み込んでいく体制整備をすすめています。また、2014年の「日本版スチュワードシップ・コード」受け入れを機に、企業との対話内容をデータベース化して情報共有するなど社内の横の連携をこれまで以上に強化しています。

企業の「ESG」への対応

寒竹:企業のIR担当者としては、「伊藤レポート」「日本版スチュワードシップ・コード」や「コーポレートガバナンス・コード」が導入されたことで、機関投資家の皆さまのIRに対する視点が、この1~2年で大きく変わってきたことを実感しています。当社においても2015年にIR部という専門部署を設けるとともに、「丸井グループ コーポレートガバナンス・ガイドライン」を策定するなど、本格的に投資家の皆さまとの対話を強化しています。ただ、非財務情報の開示については、まだまだ不足していると感じています。

戸井田:CSR担当では2011年の東日本大震災以降、社会における企業の役割に注目が集まる中で、丸井グループが本業を通じて取組むCSR活動をお伝えしてきました。ただ投資家の皆さまから見た時、どうしたらもっとCSR情報を活きた情報としてとらえていただけるのか。その観点からこれまでの取組みをESG視点で整理し、企業として何を発信していくべきかを改めて考え始めています。現在は海外のESG評価機関による当社グループへの評価を精査し、グローバル視点でよりよく評価していただけるようなアプローチをすすめています。

徳田:ESG評価機関からの開示要望は高くなっていますよね。一方で、機関投資家には、情報に優先順位をつけて、何がその企業にとって重要な情報かを提示することが大切だと思っています。

戸井田:近年サプライチェーン全体を配慮したモノづくりが社会的にも重視されています。当社グループでも、サプライチェーン全体で社会的責任を果たす「CSR調達」の取組みをより強化するため、「マルイグループ調達方針」を2016年春に制定、公表しました。現在は、実際に生産工場へおうかがいし、今後の具体的な取組みについて、お取引先さまと一緒に検討をすすめています。

徳田:そういった取組みは、投資家としても非常に重視しています。サプライチェーンにおける社会・環境リスクを含め、事業活動におけるリスクを企業側がどのようにとらえ、それに対してどのような対応をとっているかといった情報も、ぜひ積極的に外部に発信していただきたいです。

「ESG」をめぐる投資家と企業との対話

寒竹:当社グループは昨年「共創経営レポート2015」と題する統合レポートを発行し、また現場の声をより知っていただくための「共創経営レポート2015説明会」実験的に開催しました。シューズ担当の若手スタッフによる説明や、丸井グループ独自の多様な職種を持つグループ会社間や部門間での人事異動の仕組み「職種変更」などについて紹介しましたが、開催前は投資家の皆さまがそのような話に興味があるのか疑心暗鬼でした。結果として、これまでの決算説明会よりも多くの投資家の皆さまが出席され、好評をいただきました。私たちが当たり前のこととして取組んでいることにも強い関心を持っていただいたことで、こうした情報も定期的に発信していかなければ、まったく伝わらないのだと改めてわかりました。

徳田:丸井グループ独自の「職種変更」は、ほかの企業にはなかなかない仕組みなので、機関投資家としても興味があります。中長期の成長を考えると、従業員がイキイキと働ける職場づくりは、企業にとって重要なことだからです。

寒竹:EもSもGも本来は利益の源泉をなしているものです。日々の仕事と企業の成長、その道筋をしっかり外部にお伝えすることが非常に重要だと気づきました。

企業と投資家は同じベクトルを持っている

徳田:中長期的な視点で企業を分析・評価するうえで、企業風土は重要です。丸井グループには、お客さまの声を聴く企業風土がありますが、それを機関投資家にも拡げられたと感じています。

寒竹:実はIR部を設置した経緯も、「こんなにお客さまの声を聴いて経営をしているのだから、お客さまと同じように投資家の皆さまの声をもっと聴くべきだ」という発想からでした。社内でもIR活動の内容を従業員が自主的に参加する「中期経営推進会議」( 共創経営レポート2016 P63 )の中で報告し、現在では企業価値向上に向けて、役員から若手従業員まで一緒に対話を重ねています。

徳田:素晴らしい取組みですね。企業と投資家も企業価値向上に向けて、これまで以上にお互い歩み寄っていくことが必要ですよね。当社では「資産運用を通じて豊かで快適な社会生活と経済の発展に貢献する」ことを経営理念の1つとしていますが、丸井グループの「事業活動を通じてお客さまのしあわせを共に創る」という共創経営にとてもよく似ています。豊かな社会がないと長期的なリターンも実現できませんよね。企業も機関投資家もそれぞれ何のために社会に存在するのかというレベルでも、同じベクトルを持っていると思います。

徳田 展子
東京海上アセットマネジメント株式会社
株式運用部投資調査グループ
兼 責任投資グループ ESGスペシャリスト

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。現職では、責任投資やSRIファンドを担当。ほかに、環境省「グリーン投資促進のための市場創出・活性化検討会」委員、「持続可能性を巡る課題を考慮した投資に関する検討会」委員、日経アニュアルリポートアウォードの審査委員を務める。

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