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Dialogue 01「共創」という視点で長期投資家と経営者が語る

  • 青井 浩
    株式会社丸井グループ
    代表取締役社長 代表執行役員
  • 藤野 英人氏
    レオス・キャピタルワークス株式会社
    代表取締役社長

重要なのは、経営の時間軸

日本株アクティブ運用のプロである藤野英人氏をお迎えし、経営する側と投資する側の両者にとって大切になる時間軸の取り方、そして、企業価値の源泉となるお客さまに焦点を当てて対話していきます。

お客さまの声を聴くという原点に回帰

藤野:日本では昨今、団塊の世代が高齢化し消費がピークアウトする一方、スマートフォンなどの普及により若者の消費行動が大きく変化しています。加えて、消費の柱はモノからコトに移っています。丸井グループはかなり前からこうした動向に対応した施策を展開していますね。

青井:その変化を実感したのは2006年頃です。モノが売れなくなり、それまでの商売が通用しなくなりました。ITが発達して世の中が成熟化するにつれてニーズは多様化し、私たちもいつの間にか、お客さまから距離が離れてしまっていました。そこで原点回帰ということで、お客さまの声により耳を傾けるようにしたのです。

お客さまと共にすすめる「共創のイノベーション」

藤野:丸井グループは「共創」による店づくりに力を入れていますが、具体的にはどのように実践しているのですか。

青井:お客さまとの対話を徹底的におこないます。「お客さま企画会議」を開催し、店づくりのコンセプトやフロア構成、サービスや商品開発に至るまで、私たちの仮説をお客さまに直接投げかけてご意見をうかがいます。そして仮説が間違っていることがわかった時は、さらに対話を重ねて軌道修正をはかっていきます。私たちはこの取組みをもう10年近く続けてきました。お客さまとの共創によるイノベーションで、企業価値の創造をめざしています。

藤野:それはとても斬新な取組みですね。これまでにどんな成果に結びついていますか。

青井:当初は、私たちがこれまでに培ってきたプロとしてのプライドや成功体験が邪魔をして、うまくいかないこともありました。しかしここ数年は、手応えを感じています。2016年4月に開店した「博多マルイ」は1つの集大成といえるもので、600回以上の「お客さま企画会議」を経て創りあげました。お客さまとの「共創」を徹底した結果、ここまで変えたら「マルイ」じゃないといわれるようなお店に仕上がり、むしろ大変好評をいただいています。地域のライフスタイルニーズを取り入れ、すべての世代のお客さまに楽しんでいただける商業施設になりました。

お客さまを起点にした「共創のインベストメント」

藤野:私たちは長期投資を基本とする「ひふみ投信」(日本株のアクティブファンド)の運用販売をおこなっていますが、投資する際に一番着目しているのは、投資先企業にとっての顧客です。なぜなら、企業は顧客との取引関係のもとで収益を生み出し、そこから配当原資も出てくるからです。丸井グループの株を保有する「ひふみ投信」としても、丸井グループのお客さまがハッピーになることが、一番の願いです。それによって企業価値が高まれば、ファンド価値も上昇し、私たちの顧客の利益に返ってくるからです。

青井:そういう視点で評価していただけるのは、とてもうれしいことです。実は当社グループはこの数年、お客さまに限らず、株主・投資家の皆さまとの対話にも力を入れているのですが、そこでは大きな気づきがありました。お客さまに喜んでいただけることと、株主・投資家の皆さまに喜んでいただけることには、重なり合う部分がたくさんあるのです。ですから、この重なり合う部分をより大きくしていくことが、企業価値を高めることにつながるのではないかと思っています。

藤野:私たちのファンドの顧客は推定15万人いらっしゃいますが、彼らは株主であると同時に生活者でもあります。丸井グループの「共創経営」が成功し、店舗やエポスカードによって各地域の生活者が「しあわせ」を実感できれば、その生活者と重なる私たちの15万人の顧客もハッピーになるかもしれない。それはある意味、共創のインベストメントのようなものだと思います。私が丸井グループの経営に共感できるのも、こうした考え方が基本にあります。

重要なのは、経営の時間軸を長くすること

藤野:ステークホルダー間の重なり合う価値を大きくしていくうえで、時間軸はとても大切です。経営する側も、投資する側も、互いに時間軸を長く取ることで、共通の利益として重なる部分が拡大していくように思えます。時間軸が短いと、利害対立が出てきます。短期の利益を追求すると、その取り合いになりますが、5年、10年と視点を先に置くと、相互の折り合いがつくようになるのです。

青井:私も過去に経験しましたが、目先のことにこだわりすぎると結局お客さまの支持を得られず、業績を伸ばすこともできず、投資家の期待を裏切ってしまいます。ですから私は、あくまでも長期視点の経営を実践しつつ、投資家によって異なる時間軸も対話によってすり合わせる努力をしていきたいと考えています。投資家の方々にいろいろな意見をぶつけていただくことで、経営が鍛えられます。

藤野:あらゆるステークホルダーとの対話促進による「共創経営」の実践は、実に丸井グループらしい挑戦だと思います。私たちもこの先、長期にわたって皆さんを応援していきたいと思いますので、ますますの発展を期待しています。

藤野 英人
レオス・キャピタルワークス株式会社
代表取締役社長

野村投資顧問(現:野村アセットマネジメント)、ジャーディン・フレミング(現:JPモルガン・アセット・マネジメント)、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントを経て、2003年レオス・キャピタルワークス創業。CIO(最高投資責任者)に就任。2009年取締役就任後、2015年10月より現職。中小型・成長株の運用経験が長く、ファンドマネージャーとして豊富なキャリアを持つ。JPXアカデミーフェロー。

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